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『天元突破グレンラガン』
今石洋之&中島かずき
インタビュー

■第1回
■第2回
■第3回

 
『天元突破グレンラガン』今石洋之&中島かずきインタビュー
第3回 見やすいけれども、魂は今石魂である


── メカは何種類くらい出るんですか?
今石 ウハハ(笑)。数えきれないです。
中島 数えきれないですよ、ホントに。
── 主役メカのかたちは、どんどん変わっていくの?
今石 そうですね。「どんどん」ではないけど、徐々に変わっていきます。
── 今日アフレコ現場をのぞいたら、女性のキャストが随分増えていましたよね。最初はヒロインは1人みたいだけど、女性キャラは増えていくんですか?
中島 まあ、チームが増えていく感じですかね。
今石 仲間をどんどん集めていく話なんで、その仲間の中に女の子がいると。
中島 最初に、今石さんに「『男一匹ガキ大将』を読め」と言ったんです。だから「万吉28人衆」。あの辺のイメージで、仲間が集まっていくと。
今石 最初の頃に、僕が打ち合わせで「こういう事をやりたいんです」と言ったら、中島さんが「これは『男一匹ガキ大将』じゃないか!」「えっ、それはなんですか?」「まず読め」って。
中島 そうそう。
今石 「あ、はい」と言って、Amazonで一気に揃えましたよ(笑)。バーッて読んで「なるほど、これです!」って(笑)。
中島 僕らの趣味で言うと、増えていく仲間は全部、男にしたいところなんだけど、世の趨勢と、周囲の意見もありますから、しょうがないですね。
今石 (苦笑)。
中島 初めの頃、2人で進めてて、流石に「ちょっと女の子少ないかなあ?」とか言って。「じゃあ、仲間だったらいいだろう」って、増やしました。
今石 そしたら、色々ドラマができちゃって(笑)。


── 今回のシリーズ全体で、今石さんの見所は?
今石 見所ですか、見所かあ……。まあ、いつもよりは真面目に作っています。
── えー(笑)。
中島 それは見所になるのかなあ?
── 多少は落ち着いて、見やすいものになるという事?
今石 そう。多少は落ち着いて、見やすいものを作ろうとしたんですよ。
中島 つまり「見やすいけれども、魂は今石魂である」と。
今石 ええ。そうですね。
中島 最後まで観てもらえば、今石さんは今石さんだったというのが分かると思うけどなあ。
── 確かに、地上波の朝にやるんだから、コアなファンだけを相手にするわけにはいかないものね。
今石 あれを作り続けるのはいとも簡単だという事が分かったので。
中島 『DEAD LEAVES』を?
今石 「『DEAD LEAVES』をもう一回作れ」と言われたら、簡単に作れそうだという事が分かって、怖くなったんですよ(笑)。『グレンラガン』で真面目なのを一回やったら、またそっちに行くのもいいなと思うんですけどね。「一回は真面目なものをやろう」という事です。
── 真面目にやろうとしたのは、何かきっかけがあったんですか? 
今石 やっぱり『DEAD LEAVES』を作った事ですよね。
中島 いっぺん、そっちの方向で振り切っちゃったって事ですか。
今石 うん。あれは目を瞑っても作れるんですよね。
中島 おお! 強気で言っていますねえ。
今石 いやあ、だって素で作っているだけですから。やりたい事をやっているだけで、人に見せるっていう事はほとんど考えていないんですね。自分ででき上がったものを観た時に「うわ、なんもねえ!」とか思ったんで(笑)。作っている間は「なんかある」と思って作っていたんですけど。
中島 (笑)。
今石 「ああいうノリのものは、いくらでも作れるんだなあ」と思って。逆に「だったら、いつでもできるか」とかって。
── で、新たなステップが『グレンラガン』。


今石 『ハニー』の時も「もうちょっと、観る人に優しいものを作ろう」という意識があったんです。ただ、あの時もスケジュールがキツかったのもあって、素のまま作っちゃったんですけど。でも、中島さんの脚本のある部分で「あ、これをちゃんとやったら、ちゃんと面白いじゃん」と思ったんですよ。それも『グレンラガン』をこう作ろうと思ったきっかけではありますよね。
── 中島さんとしては、監督の仕事ぶりはいかがですか?
中島 今石さんは、最初に「凄く我慢するっていうのが、自分のテーマ」って言ったんですよ。
今石 ハハハハ(爆笑)。言いましたねえ。
中島 うん。「そんなに我慢しなくても」と思っていたけど、結果的には程々の我慢でやっていますね。我慢しているけど、ほとばしっている。
── それは作品のテーマじゃなくて、本人のテーマ?
中島 多分、本人のテーマなんですよ。でもね、結果的に、それは作品の内容にもつながっているかもしれないですね。「次のステップにいくためには、我慢しなければいけない事もあるよね」という事なんです。だから、本人がどう思っているのか分からないですけど、今まで強引に見せつけていたのが、見てもらう事を意識する段階になったのかなと。
今石 ハハハハ(笑)。
── なるほど、今まで、今石さんはロックンローラーだったんだね。
中島 そうそう。今でも基本的にはロックンローラーなんだけど、「ちょっとバラードも入れてみるか」と思うようになった。それは変節ではないと思うんですよ。
今石 そうですね。「絶対バラードなんかいらねえよ!」と思っていましたからね。
中島 俺も若い時は、本当にそう思っていたよ。
── 今回、「萌え」はどうなんですか?
今石 「萌え」ですか。それは錦織担当なんで(笑)、錦織がバッチリ入れてるんじゃないですかね。佐伯君も脚本書いてくれたりとか。
中島 そうね。要するに、その部分は我々では無理なので……。
今石 無理なんですか! ハハハハ!(爆笑)
── 無理なんだ(笑)。
中島 無理です。頼んでいます。「できない事をやらない」と気がつくのも、大人の仕事ですよね。
今石 アハハハ(笑)。
── 今の発言で、DVDの売れ行きが20枚くらい落ちましたよ(笑)。
中島 ええっ?
今石 いやいや、僕以外の人がやってるという事です。僕達がやってると言ったら、かえってうさん臭いでしょ。萌えはちゃんとエキスパートがやっているって事ですよ。
中島 そうそう。萌えを分かっている人がやっています。
今石 僕が無理してやったら、変な事になっちゃうからね。「これは違うんじゃないか」と言われかねないですから。


●公式サイト
http://www.gurren-lagann.net/

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(07.04.16)

 
 
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