web animation magazine WEBアニメスタイル

 

『時をかける少女』応援企画

初心者のためのホソダマモル入門 最終回
最後はやっぱり『時かけ』で♪

タライふゆ  

 どうもみなさん。今回がホソダマモル入門最終回になります。最終回となれば、やはり『時をかける少女』を紹介せねばなりません。が、ご覧になっていない人へのご紹介なので、一切ネタバレなしでお送りしたいと思います。もうすでに様々な感想があちこちのブログなどであがっていますので、これを読んで興味を持った方は、そういったいろんな意見も見てもらいたいと思います。では、気合入れていきますよ!

 まず、一番最初にお話しておきますが、『時かけ』はホンッッッット面白い! 細田守の新たな代表作、というような言われ方が色々されているようですが、私もそう思います。細田守の新作だから行きたいけど、今までと比べてどうかなあ……といった不安は抱く必要がありません。正直、私も細田守親衛隊隊員だったものの、観るまではちょっとだけ不安があったんです。万が一、いやひょっとして、なんて。でもね、杞憂でした。どんなに大監督でも、この不安が的中してしまったりする事もあるんですけど、本当によかった。躊躇なく行ってください。逆に細田守を知らない方は、ぜひ、この作品で細田守の面白さを堪能してもらいたいと思います。万人にオススメできる素晴らしい映画だと思いますよ。私は家族とも一緒に行きましたが、『時かけ』のおかげでそのあとの食事での会話が楽しかったです。アニメだから観ない、なんて人もいるかと思いますが、ちょっと待って! そんな理由でこの作品を観ないのはもったいない。ひとつの映画として、爽やかな感動をあなたに与えてくれる、と私は確信します。そのあたりのところ、今回は語っていきますね。

 まずはなんといっても、夏の雰囲気。本作の舞台は夏。『天空の城ラピュタ』『もののけ姫』などの山本二三の背景美術も相まって、この夏の雰囲気が非常によく出ています。なので、「青春映画で舞台が夏だとほろりとしてしまう」なんて人が行くとばっちりでしょうね。これを観ると、ラジオのパーソナリティが「学生さんたちはみんな夏休みなんですよね〜」なんて吐き捨てるように言う理由が分かりますよ。ほんと、学生時代の夏は輝いていたなあ。うらやましかったり懐かしかったりさせてくれます。アニメだろうが実写だろうがこういう映画は貴重ですよね。

 それから、『時をかける少女』の新たなヒロインである、主人公の真琴が素晴らしい! 彼女の元気いっぱいの性格は、みなさんの心をほくほくにあったかくさせてくれると思います。原作の『時かけ』ヒロイン、芳山和子とはまた違ったアクティブな魅力を持つ彼女に、メロメロになってください。夏バテ気味で疲れている人は、真琴にパワーをもらっちゃいましょう。
 その真琴が魅力的に見える理由のひとつである作画……いや、あえて「個々のキャラクターの一挙手一投足」と言いましょう。ここにも注目してほしいですね。派手なドンパチこそありませんが、どのカットも、そのキャラクターの性格が出た芝居づけがされているし、とても丁寧に描かれています。細田監督は長回しや引きのカットがけっこう多いですし、今回も名物の「影なし作画」なので、作画の誤魔化しが効きにくい。そんなこともあって、非常に見応えあるアニメーションが展開されていきます。真琴たちが実在する人間より存在感があるキャラクターに見えるのは、きっとこういうところに一因があるのでしょう。ああ〜ん。もう凄い可愛いよ、真琴ぉ! 可愛すぎる! 今まで耐えてましたが、もう駄目だ! やっぱちょっと言っちゃおう。たまに真琴が××××××になるんですよ。あそことかヤバイ! なんであんなに××してるんだ! か・わ・い・す・ぎ・る!
 ……危ない危ない。もう少しで行き過ぎるところでした。でも語ってるうちに、また映画館に足を運びたくなってきてしまいました。これ書いてないで早くあの子達に会いたいです。ていうか、『時かけ』に行ったら元気になるはずなのに、最近外に出たらテアトル新宿にしか行ってないぞ? 大丈夫なのか?
 まあいいや。そうそう、キャラの存在感ということで言えば、声優さんたちの奮闘も素晴らしかったですよ。もう真琴は仲さんしか考えられません!
 本作では、声優として、本職の方よりも、そうでない方々をメインに起用しました。これがベストマッチ。単純に有名人を使って話題づくり、という事ではなく、それぞれの役にその人を選んだことに、きちんと理由がある。話題づくり優先でキャスティングする映画を観飽きたあなたにも、本作はオススメできます。配役もフレッシュな人たちが揃っていて、いかにも高校生! って感じです。例えば、真琴役の仲里依紗さんについて細田監督は「世界の肯定感がすごい」と言っていますね(『時をかける少女NOTE BOOK』より)。この言葉、ぴったりです。日本一の癒し系アニメとして、今後末永く語られていくであろう本作の中で、重大な役割を仲さんは担ったといえるでしょう!
 しかし、改めて、細田監督はキャスティングを含めた音響周りへのこだわりが凄いと思いました。『デジモン』劇場1作目のボレロしかり、本作のキャスティングしかりです。

 そうだ、忘れてはいけません。本作は『時かけ』の原作、あるいは大林ファンにも是非観てもらいたい作品です。「なんか、予告だけ観てると『時かけ』のイメージと違うなあ。主人公も今風みたいだし」って躊躇する人もいるかもしれませんが、大丈夫! ちゃんと原作、あるいは大林版の核である部分を継承した作品です。
 永遠に思える3人の夏。だけど、実際には短い、大切な時間がそこで展開されます。未見の方のため、あまり詳しく語りませんが、この主人公にとって曖昧だけど居心地のいい日々という前提は、原作や大林版にもあった核になる部分でしょう。先に書いた夏の描写とも相まって、誰の心にもある普遍的な、心の切ない部分に、優しく触れてくる。そういったいつの時代も変わる事のない部分は残しつつ、でもしっかりと今という時代を見据えた作品なんです。

 他にも、細田守の特性を非常にいい感じで活かしきっている、という事についても語りたいのですが、そこについて語ると即ネタバレになるので、やめます。それほど彼の演出と親和性が高く、活きているのです。もう、この題材は細田のためにあったんじゃないかというぐらい……おっと、これ以上は……。ぜひ劇場で、この言葉の意味を確かめてみてください。

 この映画をビデオやDVDじゃなくて、映画として体験できた人は、幸せだと思います。こんな文章読んでる暇があったら、いますぐ劇場にゴーですよ。
 最後に、本作は圧倒的にデートにおすすめです。彼女とか彼女にしたい人と一緒に行くと、いい感じになれると思います。その際、「真琴かわいいよ、真琴」とか言わない方がいいと思います。ああ、しかしほんと真琴はヤバイよなあ……。


●関連記事
『時をかける少女』応援企画トップ
(各種関連記事へのリンクはこちらから)



●関連サイト
『時をかける少女』公式サイト
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/

『時をかける少女』公式ブログ
http://www.kadokawa.co.jp/blog/tokikake/


(06.08.03)

 
 
  ←BACK ↑PAGE TOP
 
   

編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
Copyright(C) 2000 STUDIO YOU. All rights reserved.