『SDガンダムフォース』の脅威
先日の、若林厚史が絵コンテ・演出・作画監督を担当した『NARUTO』第71話「古今無双!『火影』というレベルの戦い」も、ビジュアルの仕上がりが素晴らしかったですね。未見の人はDVD化された時にでも、是非チェックしてみてください。
で、以下が本題。
皆さん、『SDガンダムフォース』を観ていますか。今放映中のTV番組の中で、最も注目すべきものが、この番組かもしれませんよ。モーションキャプチャーで作られた3DCGのシリーズです。モーションキャプチャーという事は、1コマずつ人間が動かしているわけではないので、厳密にはアニメーションとは言えないのかもしれませんが、今回はその話題はちょっと脇においときましょう。
この番組が始まってから、数人のアニメーターや演出家の友人と話をしたんですが、その度に「観たよ。凄いよ、あれ!」とか、「あそこまでできるようになったんだね」とか、「もう手描きでアニメを作る必要はないんじゃないの」なんて感じで、盛り上がりました。
『SDガンダムフォース』の何が凄いって、3DCG主体の番組で、既成の子供向けのアニメ番組と代替できるだけのものになっているという事です。つまり、キャラクターものの番組として成立している。メカは勿論、人間のキャラクターの描写もなかなかよくて、そこに手描きアニメの旨味も取り入れられています。さらに過剰な動き、大胆なカメラワーク、メカのギミックといった、映像的な見せ場も用意されている。
カットによっては、まだ上手くいっていない部分もありますが、それは番組全体の中では大した問題ではない。トータルでの見応えという事では、クオリティの高い手描きアニメには及ばないものの、少なくともヘッポコな……、あ、いやいや、クオリティの低い手描きアニメよりは格段に上です。
今までも劇場作品やショートムービー等で、優れた3DCGはありましたが、僕はそれにはあまり脅威を感じなかったんですよね。手描きのアニメと比べようとも思わなかった。だけど、『SDガンダムフォース』は毎週放映する30分のTV番組であり、既成のアニメ作品と内容が近いために、放映中の手描きのものと並べてしまうわけです。
この番組が、3DCGものとしてアドバンテージがあるのは、SDものであり、登場人物の大半がメカであり、ある程度コミカルな内容であるという点でしょう。もしも、3DCG主体で登場人物がリアルなプロポーションであったら、現状では、毎週放映する番組でこれだけの見応えを得るのは難しい。だから、『SDガンダムフォース』がよくできているからといって、今すぐに全てのアニメが3DCGに取って代わられるという事には、ならないわけですが。
(04.02.20)
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