君は小宇宙を感じたことがあるか
映画『聖闘士星矢 天界編序奏〜OVERTURE〜』を観てきた。シリーズ中の位置づけとしては、ハーデスとの闘いの後、原作でも描かれていない『天界編』の序章にあたるものです。先に発表された『冥界ハーデス十二宮編』もそうでしたが、ちゃんと、10年以上の前の旧シリーズと地続きである感じがするのが嬉しい。
今回の作品は「大人のための『星矢』」だった。ただ単に若々しく熱いだけの物語ではない。アクションやバトルよりも、むしろ緊張感で見せる映画ですね。美術も凝っていて、今までの『星矢』の中で一番神話の世界らしいムードになっていた。
物語は、主人公の星矢がハーデスとの闘いで、廃人同様となっているところから始まる。勿論、彼は聖闘士としての力を取り戻す事になるのだけれど、それに随分と時間がかかる。設定的にはポセイドンやハーデスとの闘いは、数ヶ月前の事であり、星矢はまだ10代前半の少年なのでしょうが、観ているとポセイドン達との闘いが10年前、20年前のように思えてくるんですね。多分、作り手はそれを意識してやっていると思う。旧TVシリーズの放映が始まったのが1986年ですから、当時、中学生だったファンも、もう30代。事実、僕が観た劇場ではお客さんは全て大人でした(観たのが平日だったから、当然かもしれないけれど)。今回の映画の作りは、そんなファンの気持ちにフィットしたんじゃないかと思う。
公開中の作品ですからネタバレは避けますが、ラストの展開は比喩でなく、アニメ史上空前の力業です。息を呑みましたよ。『星矢』には「小宇宙(コスモ)」という概念があります。まあ、魂の力みたいなものだと思ってください。TVシリーズも『冥界ハーデス十二宮編』も次回予告の最後を「君は小宇宙を感じたことがあるか」で締めていた。今回の映画ではラストの力業とともに、一気に作品の小宇宙が高まっています。流石は、山内重保監督。作画監督である荒木伸吾さんの小宇宙も相当に高まっていた。
細かい部分でアラがないわけではないけれど、ラストの高まりのために、基本的には満足。この映画でアニメ『星矢』が完結してしまってもいいんじゃないかと思ったくらいです。
(04.02.27)
更新情報(04/02/27・第115回)
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