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  元気で爽やか『まかせてイルか!』

 どうも、小黒です。今回の更新は「湯浅政明×井上俊之対談」再録の最終回、レビューで「虫プロ 手塚治虫アニメ主題歌集」の話題、「週刊ユアサ」。それからアニスタ編集部若手スタッフのでぞれ君が担当の新企画「『マインド・ゲーム』応援団」がスタートです。

 さて、以下が本題。
  大地丙太郎監督の新作『まかせてイルか!』を観ました。これは、以前に「アニメージュ」に連載された大地監督原作の同名マンガを映像化した作品です。湘南海岸で便利屋をやっている3人の女の子が主人公。大地監督自身が「『こどものおもちゃ』の続編のつもりで作った」というだけに、元気で爽やかな、気持ちのいい作品でした。
 どことなく初々しさが感じられたのもよかった。「初々しさ」って、計算とか技術じゃ出せないんだよね。作り手やキャストのやる気とか、若々しさみたいなものが、それを作るんだと思う。他のスタッフの力もあるのだろうけど、あれだけのキャリアのある大地監督が、こんなフィルムを作れるというのは、ちょっと凄い事ですよ。さすがだなあ。

[まかせてイルか!HP]
http://www.irukaya.com/

 この作品には他にもトピックスがあります。『まかせてイルか!』はDVDパッケージで「大地丙太郎“的”自主制作作品」と謳われている。つまり、ビデオ会社のプロデュースや、プロダクションの制作管理なしに、大地監督以下のスタッフが自主的に作った作品なんですね。もちろん、完成した後にコミックス・ウェーブがDVD化して販売してくれるという前提があっての自主制作ではあったのですが(その意味では、参加しているスタッフの数が違うとはいえ、新海誠さんの「ほしのこえ」と同じです)、画期的な事であるのには間違いない。普段、TVシリーズの仕事をやっているプロのスタッフが自分達でスケジュールを管理して、カット袋を回収したりしていたわけですよ。
 それから、この作品は日本初の(多分、世界初でもあるでしょう)本格手話入りアニメーションなんですね。主役のひとり、碧(あお)ちゃんが手話で話をする女の子で、ドラマのあちこちで手話が出てくる。それは作画的にはかなり大変なのですが、全く逃げずにきっちりと動かしていて、アニメ的な見どころにもなっている。DVDの映像特典で、実際の手話とアニメの手話の比較が入っていて、これもなかなか面白かった。
 ただひとつ残念なのは、本編がたった24分しかないという事。いや、自主制作だから短いのは仕方ないんですけど、2話、3話も観たいですね。このプロジェクトが成功して、続きが作られる事に期待します。
(2004/06/10)

更新情報(04/06/11・第130回)
【review】
マニアも驚愕!!
DVD虫プロアニメ主題歌集のスゴイ中身
【ARCHIVE】
湯浅政明×井上俊之対談(3)
湯浅政明の「週刊ユアサ」(第23回)
新連載『マインド・ゲーム』応援団(第1回)
これが『マインド・ゲーム』のチラシだ!


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