第406回 やたらと働いた1987年の夏
『ロボットカーニバル』の原稿を書くために、当時のアニメージュをひっくり返していて、ある事を思い出した。23年前の夏、僕は猛烈に働いていた。「今月メチャクチャ働いてるなあ」と思いながら日々を過ごした。
何度か書いたように、僕は、1987年から本格的にアニメージュの仕事を始めた。毎月それなりの量をこなしていたけれど、やたらと担当ページが多かったのが10月号(vol.112)だった。10月号という事は、9月10日発売であり、たっぷり働いたのは8月という事になる。その号で、僕がやった主な仕事は以下のとおりだ。
カラー記事
- 「いまだから話せる!? 『ロボットカーニバル』の裏のうら」(4頁。取材8本)
- 「『カリ城』を越えられるか! 新作ルパンのカーアクション」(2頁)
- 「熱烈再見シリーズ8 『パンダコパンダ』」(8頁。これはお手伝い。フィルム接写と原稿の一部を担当)
TVアニメーションワールド
- 「今月の誌上アンコール 大地をゆるがすその勇姿! 君は高橋原人ロボを見たか[Bugってハニー]」(2頁。取材あり)
- 「アニワルCM TIME 今月も昔ばなしシリーズより 名作「もったいないおばけ」も登場だ![公共広告機構CM]」(コラムサイズ記事)
- 「PICK UP CHARACTER 新岡浩美のゲゲゲの鬼太郎」(イラストの発注と回収)
- 「ただいま到着! ドラグナー新OP[機甲戦記ドラグナー]」(コラムサイズ記事)
- 「CHARACTER MATERIAL 81話は魔界を舞台にした異色作だぜ![DRAGON BALL]」(コラムサイズ記事)
- 「まにあおぐろのこれがスルドイ」(コラム)
- 「THE原画ファイル 『ドラえもん』大塚正実編」(コラムサイズ記事。取材あり)
- 「TVアニメ完全攻略講座 ACT.4 セル画保存法(2)」(コラム)
月刊アニメランド
- コミックマーケット32レポート(コスプレ写真の撮影とキャプションのみ担当)
「いまだから話せる!? 『ロボットカーニバル』の裏のうら」では、電話取材を含むとはいえ、全監督に取材しているし、『パンダコパンダ』のフィルム接写は数日かかった。『Bugってハニー』のフィルムストーリーなんて、16ミリフィルムを切り出して、セル撮して、描き下ろしまでとっている。普段は参加していない「月刊アニメランド」のためにコミケに行って、写真まで撮っている。しかも、この頃は画像や原稿をネット経由で受け渡す事などは、できなかったわけで、掲載する素材の回収も全部、各スタジオまで取りに行っている。取材を1日に3本こなしたのも、この月が初めてだったはずだ(梅津泰臣さんにうどんを奢ってもらったのも、この月だ)。
こんなに担当が多かったのは、この月、アニメージュの主力ライターが「広島国際アニメーションフェスティバル」に行ってしまって、人手不足だったためでもある。ではあるが、それにしてもよく働いた。「この企画をやりたいです」「それは僕がやります」「担当する人が足りない? だったら、僕が」といった感じで、自分で挙手して、仕事をとっていったのだろう。
さらに言えば、この頃、僕はまだ東映動画(現・東映アニメーション)でアルバイトをやっていたし、「アニメビジョン」の仕事もやっていた。これだけアニメージュで仕事をしていたという事は、この月、季刊であった「アニメビジョン」は作業がなかったのだろう。
業界を走り回るのも、記事を作るのも楽しかった。自分ができる事に対して、全力投球している感じだった。だから、忙しいのが嬉しかった。今までの人生で、一番仕事が楽しかったのが、この頃かもしれない。
第407回へつづく
(10.07.12)