(前回からの続き)
ま、前回の内容とカブるかもしれませんが、動画マンとは1日中線を引っぱりまくる仕事です。
「いやいや動画は原画になるためのステップ。原画になったら……」
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て言って“今はひたすらガマンだ!”って後輩をなぐさめる気はまったくないし、
っつー下手な慰めは大嫌いなので、あえてもう一度ハッキリ言わせてください。
「動画は1日中線を引っぱりまくるだけの仕事です!」
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でも、それにつけ加えてもう一言。
フィルムを作るというのは皆の仕事です。たとえ監督が素晴らしいコンテを出しても、演出・作監がいなければなんにもならないし、演出・作監がいても原画マンがいなければフィルムにならず、一部の作画マニアの方々がヨダレたらして大喜びな原画マンが大勢集まってても、動画マンがいなければアニメになりません。いや、仕上げ様や撮影様や音響様……それ以外のスタッフ様たちも全ての役職がフィルム作りにはなくてはならない重要職です。
その中で当時は動画マンだった自分が線を引っぱりながら考えてた事は、
動画――確かに原画や作監より、はるかに自分の個性がフィルムに反映されづらい仕事……。だけど、その極端に言うと“誰がやっても同じな仕事”を最終的、結果的に“板垣(自分)じゃなきゃできなかったよ、コレ”とまわりに言われるようにしたい! 無個性な役職で個性的な仕事をしてやる!!
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でした。
そんな思いで迎える18時半(
“ちくわ”の回[第47回]の時以外の行動パターン)。また会社を出て朝持って入った
ジョーのカバンのようなお風呂セット(第69回参照)を片手に向かうのは会社近くの銭湯。当時は入浴料385円というハンパな感じ。
で、385円の安らぎを得て、19時過ぎ。駅前の東○ストアで買い物して自宅へ(なにせ自分の住んでたアパートは会社から歩いて7分でしたから、駅前まわっても15分ほどで着くわけです)。
19時半過ぎ、自炊。作る料理はカレーかシチューかみそ汁かカレー。その他は生野菜か……。カレー系のものは1鍋作って2日間で消費。米炊いたら2合を2日で消費。たぶん、ひと月の食費は1万数千円か? ちなみに当時のアパートの家賃は3万1千円だったので
食費 1万数千円?
銭湯 30日×385円
家賃 3万1千円
電気
ガス
水道
電話 1万数千円?
計 月約7万円前後
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――な生活費でした。そんなに極貧ではないと思いますがどーでしょう?
そんで、夕食&自炊が終わると20時半頃会社(テレコム)に戻りまた動画。
深夜0時頃までひたすら線を引っぱり続け、深夜0時半頃帰宅。帰ったら、
遊びの時間。誰に課題を与えられたわけでもない原画のお遊び。勉強じゃないですよ、あくまで“遊び”。こーゆー風に書くと、“動画時代から勤勉だったんですね〜”などと言われそーですが違います。そもそも子どもの頃からずっと絵を描くのが好きだった自分にとって、いくら向かってる紙が動画用紙でもこれは遊び。中・高校生の時などは事務用の白紙カード(?)にパラパラマンガを描いては同級生たちによく見せたりしてました。そのノリです。
原画だけでなく、スケッチブックに鉛筆画や水彩画などもよくこの時間に描いて、後日、会社(テレコム)で大塚(康生)様にみていただいてました。原画だけでなくスケッチにも大塚様は修正をのせてくださってありがたかったです。で、深夜2時〜2時半就寝
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