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COLUMN
板垣伸のいきあたりバッタリ! 第78回
川尻善昭監督『HIGHLANDER』
見ました!

 『Devil May Cry』以来の“阿部恒キャラ”ファンの白石に誘われて見てきました、川尻善昭監督作品『HIGHLANDER ハイランダー 〜ディレクターズカット版〜』を、この間の土曜日(7月26日)深夜の新宿で。

 いやあ、やっぱりいいですね。俺、好きですよ川尻アニメが!

 実際、『Devil〜』が自分に振られた時も真っ先に「これ川尻さんがやったら大喜びで見るのに」と思ったくらい川尻監督作品好きなんですよ、もともと。以前書いた内容とカブってもいいでしょ? って事で書きますが、俺にとってマッドハウスと言えば中・高生の頃――まさにOVAバブルの始まり期に見た

 『妖獣都市』『魔界都市〈新宿〉』『ゴクウ』などの川尻善昭監督作品です!

 黒ベタカゲに青・赤でスタイリッシュ! クールでダンディな大人のムード……痺れました。ちなみに、その頃はすでに演出家志望だった自分。前述したアニメーターの名前より監督・演出家の名前の方がはるかに多く知ってて、アニメに限らず実写の映画も、監督別で追っかけてました。その中でもOVAの中で新作が出るたびに欠かさず見てたのが出崎統監督作品と川尻善昭監督作品! TVシリーズから一貫して激しく熱いドラマの出崎アニメはもちろん一生分の「神」ですが、当時のOVAってTVではできないエロやらバイオレンスとか全然OKだったジャンルで、自分もそれ目当てで見てたから、川尻アニメのアダルトな魅力は出崎アニメとはまったく別だったんです。なんつっても、川尻さんのフィルムはシャープかつキレがいいしカッコイイ! でも、ただカッコイイと言っても『妖獣都市』から『HIGHLANDER』まで板垣の見る目もファンからプロの演出家へ変わった今、川尻監督作品の本当の凄さがレイアウトや色使いなどの面作りより、「カット割りのムダのなさ」だとわかりました。だって、アニメーター視点から見ると爆発のダイナミズムは作画の見せ場だからカット数も積んでほしいのでしょうが、川尻さんはそーしません。爆発とかでも1〜2カット“ドーン!”とやった後は、すぐカメラをキャラの顔に向けてしまったり、チャンバラアクションとかも“シュバッ!”と閃光が走ったと思ったら、次のカットは止めのスライド! とか……本当に必要最小限で最大限の効果を生んでる演出は、今回の『HIGHLANDER』まで貫かれてました。

 正に「体脂肪率0」のフィルム!

 また痺れました、俺。
 そして、そのシャープな川尻演出に阿部(恒)さんの画が見事に合っていた『HIGHLANDER』。阿部さん的には俺と『Devil〜』をやる前の仕事で、時々御自身も話題にしてくださったんですが、なかなか見る事ができず、2人で一緒にアメリカのイベント(コラム第424445475051回)に行った時、アメリカで先行発売してた『HIGHLANDER』のDVDを買って帰り、自宅の小さなパソコン画面で見たりもしましたが、劇場用に作られたモノは劇場の大画面で見なきゃダメですね、やっぱり。なんと言っても阿部さんの画は大画面で映えます。いずれ、自分もキャリアを積んで劇場で阿部さんと仕事させてもらえる“格”になりたいです。……ま、とりあえずはまたTVシリーズを、ね。
 でも当然一緒に仕事していくうち阿部さんと話すのは緊張しなくなっていったんですが、川尻さんとはマッドハウス内で何度ニアミスがあっても超照れ屋の自分は全然話しかけられるわけもなく、半年間は以下な感じ――



 となりの阿部さんと談笑中の川尻さんに緊張・緊張・緊張でなかなか話の輪に入っていけず、それを見かねた阿部さん・箕輪さんが――

阿部さん「そんなに話したいなら紹介するよお」



箕輪さん「え? 今、川尻さんのトコに出崎(統)さんも来てたよ。行ってきたら?」



 ……いや、つまり川尻さんや出崎さんとは、一アニメ業界人同士としてお会いしたかったんですよ〜。



(08.07.31)

 
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