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  「アニメ」と「アニメーション」

 「アニメ」と「アニメーション」の違いって分かりますか? 狭義での「アニメ」であり、「アニメーション」です。ものすごく大雑把に言うと、日本でTV放映されている作品の大半が「アニメ」で、映像や表現の魅力を追求したものが「アニメーション」って感じですね。それらの定義については、またいずれ、お話しする機会もあるでしょう。
 で、『連句アニメーション 冬の日』を試写で観てきました。国内外のアニメーション作家が、それぞれ芭蕉の連句を短編にするという企画の劇場作品で、海外からはユーリ・ノルシュテイン、ラウル・セルヴェ、アレキサンドル・ペトロフ、国内からは川本喜八郎、久里洋二、島村達雄、伊藤有壱、山村浩二……と、錚々たるメンバーが参加。40から50秒くらいの作品が大半で、正しく小品ですが、36本も続くとかなりのボリューム。中には映像そのものではなくネタで勝負した作品もありましたが(ご愛敬ってやつですね)、全体としては流石に見応えのあるものでしたよ。巨匠と呼ばれる人達というのは、やはり凄いもんだなあ、と改めて思いました。
 最初に句がテロップで画面に表示され、次にそれを映像化した作品が始まるという構成なんですね。ほお、この句がどんなアニメーションになるのかと思って観ると「なるほど、こうなるのか」と感心したり、「ええ! なんでこうなるの!?」と驚いたり。つまり、その作家の句についての解釈を楽しむ作品でもあるわけです。と、書くと難しそうだなあと思われる方がいるかもしれませんが、それは大丈夫。アニメーション本編の後に「冬の日の詩人たち」というタイトルのメイキングがついていまして、そこである程度、作品について説明されていますから。
 アニメスタイル的に注目したいのは、奥山玲子・小田部羊一コンビの作品と、高畑勲の作品。今までアニメの世界で活躍していたクリエイターが、アニメーションの作品を発表したというかたちになりますね。いずれも立派な仕上がりでした。高畑さんの方は、センスがいかにも高畑さんらしいというか……。おっと、ここで具体的にお話するのは勿体ない。興味がある方は劇場へ行くか、DVDをどうぞ。
 多分、この作品は(いくつもの関連イベントが開催されるといった周辺状況も含めて)、ここ数年のアニメーションブーム(アニメブームではなく)の成果なんでしょうね。それから『アニマトリックス』と、あらゆる意味で対照的だと思いました。海外から「アニメ」である事を求められて、いかにも「アニメ」らしい作品を国内スタッフが作った『アニマトリックス』と、海外のクリエイターも招いて日本ならではの題材で「アニメーション」を作った『冬の日』。その両者が同じ年に発表されたというのは、ちょっと面白い事だと思います。

(03.10.30)

更新情報(03/10/31・第101回)
35名のアニメーション作家が芭蕉の連句を映像化  DVD『冬の日』リリース迫る
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