第265回 毎日が千葉繁
ここまでも何度か話題にしたが、千葉繁は、アドリブ入れまくりの過剰な芝居で異彩を放つ、超個性派声優だ。話題にしている1985年前後は、毎日のように彼の声を聞いていた。改めて1985年の出演作をチェックしてみると……。
千葉繁のレギュラー番組(1985年10月時点で放映されていたもの)
- 月曜『コンポラキッド』(大五郎役)
- 火曜『パーマン(藤子不二雄ワイド枠内)』(サブ役)※
- 水曜『うる星やつら』(メガネ役)
- 『Dr.スランプ アラレちゃん』(摘突詰役など)
- 木曜『世紀末救世主伝説 北斗の拳』(ナレーターなど)
- 金曜『魔法のスター マジカルエミ』(国分寺役)
- 土曜『ハイスクール! 奇面組』(一堂零役)
- 日曜『タッチ』(達也の父、パンチ役)
うわっ! 本当に毎日出ていた。この時期の『パーマン』は再放映に切り替わっているはずだが、水曜に『うる星やつら』と『Dr.スランプ アラレちゃん』の2本があるので、『パーマン』を外しても、計7本。僕は毎日1本のペースで、彼の出演作を観ていたわけだ。ちなみに『アラレちゃん』のメインの持ち役は、摘突詰とニコチャン大王の手下だが、発明品や動物などの端役も印象的だった。
アニメ雑誌で千葉繁に取材したライターに聞いた話だが、この頃の彼は、頭の血管がブチブチと切れるくらいの忙しさ&熱演だったそうだ(その取材は『北斗の拳2』終了後に行われたものだった。古い話で、しかも、伝聞なので正確ではないかもしれないが、毎週最後に収録するのが、特にテンションの高い『北斗の拳2』であり、録るたびに血管がブチブチと切れていたらしい。確かに、血管が切れてもおかしくない芝居だった)。
1985年前後、千葉はフジテレビのアニメの大半(『サザエさん』と名作劇場を除く)にレギュラーで出演しており、『タッチ』の前々番組の『さすがの猿飛』では、スパイナー高校凸凹コンビの00893、前番組の『Gu-Guガンモ』では、パパとデジャブーを演じていた。『Dr.スランプ アラレちゃん』終了後は、後番組の『DRAGON BALL』でピラフ大王役。『うる星やつら』終了後は、後番組の『めぞん一刻』で四谷役。ここまで出演していると、同時期にフジテレビでやっていた『ゲゲゲの鬼太郎(3期)』にレギュラーで出ていないのが、不思議なくらいだ。
前回話題にした『ハイスクール! 奇面組』の一堂零は、脇役でありながら、主役を喰ってしまうくらいの活躍をしていた千葉が、初めてアニメで演じた主役だった。『ハイスクール! 奇面組』の音響監督は、千葉のアニメデビュー作『ドカベン』、彼の才能が開花した『うる星やつら』も手がけた斯波重治だ。斯波がそろそろ主役をやらせてみるか、と考えてキャスティングしたのかもしれない。ではあるが、一堂零が千葉の代表作になったかというと、必ずしも、そうではなかった。一堂零は、どちらかと言えば落ちついて喋るキャラクターだった。彼の演技もちょっと抑えた感じで、味のある芝居にはなっていたけれど、その個性を最大限に活かせる役ではなかった。僕のファン目線での感想としては、そうだった。
やっぱり僕は、千葉繁だったらテンションの高い芝居が好きだった。『うる星やつら』のメガネは別格として、上記リストの作品だと『北斗の拳』での仕事や、『魔法のスター マジカルエミ』の国分寺がお気に入りだった。
第266回へつづく
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(09.12.08)