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  作画アニメ『ドラえもん』

 今回の更新は「アニメ積読録」と、久しぶりの「DATA BASE」。「DATA BASE」は前にお約束したアニメラマ三部作だ。

 先日、公開中の『ドラえもん のび太のワンニャン 時空伝』を観てきた。物語はここ数年と同様の盛りだくさんな内容。作画は相当に健闘。というか、作画に関しては劇場『ドラえもん』の中でも屈指の仕上がりだと思う。
 渡辺歩が、総作画監督を務めた2本目の「長編ドラ」である。渡辺さんはシンエイ動画生え抜きの濃いアニメーターで、今まで『のび太の結婚前夜』や『おばあちゃんの思い出』といった『ドラえもん』の感動短編シリーズを手がけてきた。前作の『ドラえもん のび太と ふしぎ風使い』では前半で作画のテンションを上げすぎて、ちょっと中盤に(作画的な)中だるみがあったのだけど、今年は全編、非常によく動いていた。原画に「週刊ユアサ」の湯浅政明さんや、『TOKYO GODFATHERS』の小西賢一さんが参加して、腕を振るっているのも驚きだけど、それが浮いていないのがこれまた驚き(湯浅さんは何シーンかやっているみたいだけど、中盤のチャンバラのシーンが特にグー。小西さんはちょっとAプロチックな芝居を描いていたみたい)。圧巻は亜細亜堂の藤森雅也さんが絵コンテから担当した、クライマックスのアクションシーン。これはかなりの見応えで、映画を盛り上げていた。
 しずかちゃんは、昨年からTVシリーズとも今までの「長編ドラ」とも違うデザインになっている。これは「渡辺しずか」なのだろう。昨年も頭がクラクラするような、しずかの濃いカットがあったけれど、今年もあった。ワンニャン王国にやってきたのび太達が、その世界で目立たないようにネコミミやイヌミミをつけるところで、ネコミミをつけた直後のしずかが可愛いポーズをとる。そのカットが大変な事になっていた(とても文章では説明できない。とてつもなく可愛いポーズって事だ)。まず間違いなく、渡辺さんの仕事だろう。
 渡辺さんが感動短編シリーズをやっていた数年間は、「長編ドラ」に対して短編の方の仕上がりが濃密過ぎて(いや、それも嬉しいんだけど)、2本立て興行としては、ちょっとバランスがよくなかった。彼が長編の総作画監督をやる事になって、メインとサブのバランスがよくなったと思う。
 ところで、去年も今年も渡辺さんは「長編ドラ」の総作画監督をやりながら、同時上映の短編『パーマン』の監督を務めている。長編と短編を同時に手がけるなんて聞いたことはない。どうしたって、どちらかは力をセーブする事になる。シンエイ動画さん、来年はどちらかに専念させてあげてください。

(04.04.16)

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