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今こそ語ろう『天元突破グレンラガン』制作秘話!!
第5話 俺にはさっぱりわからねえ!
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第5話 俺にはさっぱりわからねえ!
脚本/佐伯昭志
絵コンテ/佐伯昭志、富田浩章
演出/富田浩章
キャラ作画監督/貞方希久子
メカ作画監督/雨宮哲
原画/森田岳士、水野佳樹、伊藤一樹、増田雄一郎、本多哲、片岡康治、冨田佳亨、金城優、赤井俊文、木藤貴之、夏目真悟、西村広、秦洋美、平智仁、本城恵一朗、松下郁子、吉本美妃、山口智、高村和宏、中村章子、久保田誓、長谷川ひとみ、雨宮哲
●旅を続けるカミナ一行は、ひょんな事からガンメンを神と崇める地下の村・アダイへ。ロシウ、そしてギミーとダリーが初登場。ロシウは『グレンラガン』レギュラー陣の中でも最も真面目なキャラクターとなり、第3部以降のストーリーで重要な位置を占めていく。佐伯昭志が脚本・絵コンテで再び参加。地下暮らしを続ける人類のダークサイドを描く、静かでシリアスなトーンのエピソードに仕上げた。
今石 4〜6話は本当にバラバラな印象にしたかったので、もの凄くナンセンスでアホな回のあと、バカみたいにシリアスな回を置いてみたんです。特に5話は、いちばん異色の回にしたかったんですよ。シリアスすぎて、ハズれてる(笑)。最終的には、全体がわりとシリアスになっていったので、そんなに出っ張らなかったと思うんだけど。
大塚 3部とかで繋がってきたからね。
今石 うん、わりと綺麗に繋がっちゃった。お客さんとしては、多分こういう話の方が好きだろうなという想像もできていたので、だからこっちも真面目にやる気があるよ、というのを示していこうと思ったんです。すっごいバカな事もやるけど、すっごく真面目な事も同時に考えているよ、と。なおかつ5話は新人育成回でもある。
── 佐伯(昭志)さんと連名でコンテを担当されている富田浩章さんという方も、新人なんですか?
今石 富田は、コンテは初かな。5話は脚本が佐伯君だったので、その流れで「コンテの面倒も見てあげてよ」っていう事で、先生的に見てもらいました。
── じゃあ、基本的には富田さんが描いて、それを佐伯さんが直す?
今石 ええ。それをまた監督チェックで直すという、結構回りくどい事をしてました。これもかなり難航した記憶がありますね。尺とカット数がえらいオーバーして、かなり削りました。
── 5話はちょっとしんみりした話だから、佐伯さんに脚本を任せているわけですか?
今石 そうですね。逆に4話みたいな話を書けと言われても困るだろうし、僕からは5話みたいなネタはなかなか出てこないし(笑)。まあネタは出せてもまとめられない。佐伯君はグレーゾーンを描くのが得意なんですよ。そのグレーが青の6番か7番か、どっち? みたいな事を掘り下げられる。僕はもう、白か黒かのどっちか! みたいな方にすぐ行っちゃうから(笑)。だから5話は、佐伯君なりの『グレンラガン』第1話なのかな、と。佐伯君が考える地下の生活は、このぐらいシビアだろうというものを出してもらったと思います。
── ジーハ村とはえらい違いですものね。
今石 ええ。1話はそんなに悲壮感がないですから。「お前ら地下でも元気に生きてんじゃん」って感じなんだけど(笑)、アダイ村みたいな場所もあるよ、と。
大塚 色をモノトーンにしたのは、今石君から出した注文なの?
今石 うーん、キクタン(菊地大輔)とボードを作っていた時かなあ……いつだろう。でも、確かに初期の話数では、画面処理についていろいろ考えてましたからね。そもそも1話の地下の描写をどうするか悩んでいた時に、青一色のモノトーンにしちゃおうとか言ってたんだけど、さすがに1話からそれはマズいだろうという事で、ちょっと戻したんですよ。だから5話では「最初にやりたかった感じになるまで攻めようよ」という事で、モノトーンにしちゃったんですよね。だから5話はイメージボードが異常に多い。2話、3話なんてほとんどボードないのに。
大塚 そうだったね(笑)。
今石 まあ、地上に出ると自然光と荒野の世界だから、画作りも凝りようがない。5話は、光だけでもレイアウトを作りやすいという事で、画面効果的にいちばん実験しようとしていた回ですね。もうギリギリ見えるか見えないかぐらいの、放送事故直前ぐらいの暗さで攻めてみようとか言ってました。「ロウソクだけで生きている世界って、どのくらい暗い画になるんだろう」と。
── 作監のお2人も新人なんですか?
今石 彼らもそうですね。貞方(希久子)は、1回か2回は作監やってたかな、『シュガルン(シュガシュガルーン)』で。
大塚 うん、やってた。
今石 雨宮(哲)は、完全に初作監ですね。
── それぞれキャラ・メカという分け方なんですか。
今石 ええ、綺麗にキャラ・メカ分けです。メカが動いているところは、雨宮がほぼ全部、原画から描いてます。Bパートのメカは、ほとんど彼です。Aパートの冒頭は、夏目(真悟)君が描いてます。あそこでちょっと“夏目真悟ショック”がありましたね。「森久司調の若手がきた!」っていう(笑)。大平晋也調も混ざりつつ、森久司調。衝撃でしたね。制作に「もっと夏目君に原画を振ってくれ!」と言ったりして(笑)。
── その方も新人の方なんですか?
今石 そうですね。でも雨宮よりは歳上だから、ド新人ではないですけど。当時もう作監経験もあったのかな。僕には“金田調をやっている森さん”という印象に見えていて、「わざわざ全部4コマ打ちだ!」とか「BL影多すぎだろ!」とか、そのあたりがツボだった。森さんの原画も、夏目君の原画も、「これ塗れるのかな?」っていう画なんですよね(笑)。パーツを自由に描いてるから、色分けすら合うのかどうか分からない。
大塚 凄かったよね。
今石 うん。でもまあ、色指定表もかなり遅れてたから(苦笑)。誰も塗り分けを知らないままに、原画を描き終わったりとかしていた。
大塚 5話でそれか(苦笑)。
── キャラ作監の貞方さんのお仕事はいかがでしたか。
今石 彼女はちょっと緩い感じの方が巧いんですよ。そういう意味では、5話は硬い作画を要求される回だったので、難しかったかなとは思うんですけど。
大塚 きっと、あんまりきっちりしていない方が、ホントは向いているんだよね。凄くサクサクやってくるんですけど。
今石 そういう意味では、真面目にカチカチ描く人にはない味が出てるかな。まあ新人に対しては、最初は難しいものをやった方がいいとは、ちょっと思ってるんですよ。そのあとで何か弾けられればいいんじゃないかなあ。
── 久保田誓さんの描いたカットも目立ってましたね。カミナがロシウを挑発するところ。
今石 はいはい。あれはさすがでしたね。『時かけ(時をかける少女)』帰りの男ですからね。
大塚 久保っちは5話が初めてだよね。
●第6話へつづく!!
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