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今こそ語ろう『天元突破グレンラガン』制作秘話!!
第12話 ヨーコさん、お願いがあります
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第12話 ヨーコさん、お願いがあります
脚本/砂山蔵澄
絵コンテ/木村哲
演出/栗本宏志
キャラ作画監督/高村和宏
メカ作画監督/平田雄三
原画/河野紘一郎、山田勝哉、岩瀧智、山口智、渡辺敬介、西垣庄子、雨宮哲、小竹歩、後藤望、横井将史、益山亮司、田中春香、阿部慎吾、貞方希久子
●進撃を続ける大グレン団の目前に広がる、広大な海! リーロンがダイグレンに水上装備を換装する間、一行は海水浴を楽しむ。その中には仲間に溶け込んだニアと、ふてくされ気味のヨーコの姿が……。水着シーン満載で贈る、サービスたっぷりの海洋アクション編。キャラ作画監督は美少女作画に定評のある高村和宏が担当。後半の大グレン団VSアディーネ&ヴィラルの水上バトルも見どころだ。
今石 12話は、当初のシリーズ構成から決まっていた水着回ですね。作監も高村和宏と決定していました。
大塚 (笑)
── 久々の息抜き回ですね。
今石 そうですね。11話まであんなに苦労して主人公が復活したのに、12話ではなかった事のようにカラッとしているという(笑)。みんな「海だ、ウワー」みたいな顔して、風がそよいでるみたいな、そういうノーテンキな感じにしたかった。
大塚 12話の話作りは、余裕があったらもう少し粘りたかったんですけど、できなかったんですよね。そういう意味では、お話的に少し「ううむ……」というところがあって(苦笑)。
今石 ノリと勢いだけで乗り切る、という感じですね(笑)。ニアのキャラクターの統一は、実は大塚さんが取っていたので。
大塚 第2部ではかなり手を出したんですけど、12話は全く触れていないんです。個人的にはいろいろと思うところはあるんだけど……。
今石 第1部は、中島さんが結構ポイントを押さえてくれていたんですよね。第2部の方は、内容的にもキャラクター的にも、ややバラつきがあると言えばある。まあ、それはそれでいいかな、とも思っていたんだけど、確かにあんまりブレすぎちゃうのも困るし、ニアのキャラが定着する前にブレ始めるのはヤバイな、とは思っていました。
大塚 まあ、そのあたりは11話でひと段落ついてるし、12話はおふざけの回だからいいかな、と。でも、そんな回でアディーネが死ぬんですけどね(笑)。
── おふざけ一辺倒でもないという。
今石 このあたりは、詰め込み構成の無理がだいぶ出てきてる頃ですね。アニメスタイルのイベントの時にも言いましたけど、本当はアディーネチーム対グレン団チームでビーチバレー対決をするはずだったのに……。
── それはどこまで真面目な話なんですか?
今石 いや、シナリオ打ちではそういう話にしようと言ってたんですよ。プロット段階では、ビーチバレー対決で負けて「よし次はメカ戦だ!」という流れだった(笑)。
── ああ、『ヤッターマン』的な。
今石 そうです。でも、それやってたら最後にアディーネ死ねないよな〜って話になって(笑)。
一同 (爆笑)
今石 その展開で最後に死んじゃったら「えー!?」ってなるだろうな、と。もうその時点で、9話から11話までの流れを完全に無視する事はできなくなってたんです。
大塚 お客さんも本気になってきてるだろうからね。
今石 そうそう。さすがに「そりゃないでしょう」と。そこはちょっと弾けきらないところでもあったんですけどね。弾けたら弾けたで、いろんなものを失う気がした(笑)。
── そこが以前のインタビューからも言っている今石監督の“我慢汁”というやつですね。
今石 そうです。まさにこれが我慢汁です(笑)。
大塚 12話のコンテはかなり大変な事になってたよね。
今石 オーバーぶりで言えば、多分これが最長じゃないですか?
大塚 この辺、ずっとオーバーしてるよね(笑)。11話、12話、13話と。
今石 1話完結の話だから、小ネタが多いんですよ。でも主軸のストーリーもあるし、キャラも増えてるし、その描写をいちいちやっていくと、もの凄く膨大な内容量になっていくんですよね。毎回必ず400カットみたいな(笑)。12話なんて、10分オーバーしてますからね。
── 凄い話ですね。
今石 ええ。それをバッサバッサと切っていって。いろいろ入れ過ぎなんですよ、12話は。水着のサービスシーンをやって、ビーチバレーをやって、ダイグレンの水上装備をやって、海中戦もやって、ニアが人質になるシーンもやって、髪を切るまでやって(笑)。ニアの髪切りも、相当前からやると決めてましたよね。あのイメージボードだけは、まる1年前からあった。
── それはどなたが描かれたんですか?
今石 ボード担当の菊地(大輔)君です。あそこは錦織も相当思い入れがあったみたい。そもそも、出てきてまだ4週めのキャラがなぜ髪を切るのか(笑)。しかも3週経ったら7年後になってて、また髪が伸びちゃってるのに。「でもやろう」と。本当にやりたい事が多すぎました。あと、1話完結話の定番として、必ず夕陽で終わる(笑)。これも外せなかった。
── アーテンボローのキャラが開花し始めるのもこのあたりですよね。
今石 うん。アーテンボローは初めからああいうキャラだったんだけど、とても10話や11話では活躍させられなくて(笑)。11話にも、いきなり撃っちゃってキタンに怒鳴られるという場面は入ってましたけど。12話あたりでやっと派手に動き回れるようになった。
── 作監の平田雄三さんが連投していますね。
今石 そうですね。10話と12話がメカ作監で、13話はキャラ作監。ちょっと不思議な振り分けですけど。12話は戦闘シーンが思いのほか真面目にできてしまいましたね。そこは意外でした。
── 作画の頑張りですか?
今石 いや、シナリオの段階から、砂山(蔵澄)さんが海中戦をしっかり作ってきてたんです。「ああ『ナディア』好きだったんだ」って感じで(笑)、それがコンテにも反映されてます。Bパート前半のメカ戦は、わりと新人の原画マンが頑張ってくれてますね。雨宮(哲)もそうだし、益山(亮司)もそうだし。そのおかげで、思ったより丁寧に仕上がりました。
●第13話へつづく!!
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