【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』
第1回 イメージボード(1)

 戦後の復興期を抜け出したばかりの昭和30年代の日本。地方に暮らす新子と都会っ子の貴伊子、対照的な2人の少女が、山口・防府市で出会い、友情を育んでいく。丹念な日常描写に大胆なイマジネーションを重ね、奇跡が起きる瞬間を描き出す。『マイマイ新子と千年の魔法』は、そんなたくらみに満ちた劇場作品だ。
 今回は、作品制作にあたって、浦谷千恵が描いたイメージボードを紹介しよう。浦谷は本編では、画面構成と作画監督の役職でクレジットされている。脚本作業中に、片渕須直監督と二人三脚で相談しながら、描いていったものだ。イメージボードと言っても、実際には短冊のようなかなり小さな紙に描かれており、イメージスケッチと呼ぶほうが似つかわしいかもしれない。
 第1回は新子達の日常生活の場面を中心に紹介していこう。自然の残る池からドヤ街まで(!)新子達の活躍する舞台は多岐に渡る。それぞれの画に付した解説は、片渕監督自身にお願いした。

▲流れを堰き止めて金魚を飼う子どもたち。透きとおった水こそ千年の魔法の源。この池は本編ではイメージが膨らんでもっと巨大になる。水の透明感の表現には十分な自信があった

▲新子のひみつの場所。おじいちゃんが藤づるで編んでくれたハンモック。ここから見渡す青麦畑の下には、千年の都が眠っているのじゃ、と教えられる

▲ヤクザが仕切る場末の暗黒街に突入する新子とタツヨシ。武器は度胸と木刀一本あるのみ。牧歌的な前半とは打って変わり、後半はそんな展開につながってゆく

▲保健室のひづる先生。千年前この地に住んでいた女の子の名を教えてくれる。ひづる先生は、もっと清楚な感じに変わる。時々めがねになるのはもうこの頃から決めてあった

【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』第2回へつづく

●『マイマイ新子と千年の魔法』公式サイト
http://www.mai-mai.jp

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