【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』
第3回 イメージボード(3)

 3回目となる今回は、新子が幻視する1000年前の周防のイメージスケッチを紹介しよう。片渕監督のコメントに出てくる諾子とは周防守の娘であり、後の清少納言。この作品のもう1人の主人公である。

▲千年前の世界。周防国府の工房曹司。平安京ならいざ知らず、地方国府の再現考証はなかなか一筋縄では行かない。実際、歴史学の分野でもそれほど研究が進んでいない分野らしいことがわかってきて、呆然とした

▲そうしたある日、とある実在の親子が千年前この地にいたことに思い至る。勝間の浦で子の日の小松引きを寿ぐ周防の守・元輔。「元輔集」にこのシーンの元になった和歌がある。彼の娘の名前は「諾子」だ。少なくとも、昭和30年代当時の文献にはそう出ている

▲諾子の日々を想像してみる。父が年老いてから生まれた彼女には歳の近い兄弟姉妹もおらず、さぞ退屈だっただろう。千年前の子どもの人形遊びは、「源氏物語」の若紫の描写からの引用

▲文献から読み取れる諾子の性格は活発で世話焼きだ。しかし、ほんとに走れるのか、この衣装で? 三重県伊勢斎宮まで出かけて、自分の子どもに平安時代の子ども装束を着せて確かめることになる

【artwork】『マイマイ新子と千年の魔法』第4回へつづく

●『マイマイ新子と千年の魔法』公式サイト
http://www.mai-mai.jp

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