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COLUMN
池Pの すごい? カレイドスター回想録[池田東陽]

第8回 第1期終了、そして空へ

第23話「幻の すごい 大技」

 
『鉄球』に尽きます。佐藤監督がどうしてもやりたかった事。
 企画段階(5年前)、イメージスチールを10カットほど作成する事になった時に「よく分からない」カットがひとつありました。
 身動き取れない主人公に容赦なく撃ち込まれる鉄球。モロに「どてっぱら」に撃ち込まれてます。しかも本編でそらが右手だけで受け止めていたモノなんて甘っちょろいくらいのボーリング玉級のやつです。佐藤監督に聞きました。
 池田「これはなんのためにやっているんですかね?」
 佐藤「ん?? そんなのわからないよ。でも“特訓”って感じじゃない?」
 池田「あ、そういう事ですか。“特訓”ってコレですよね。ならOKですよ」
 みたいな打ち合わせだかなんだかよく分からない会話が交わされてました(苦笑)。
 ただ、これってとても重要な事なんです。少なくともチームがチームとして機能するための確認作業なんですね。「(方向は)こっちだよね?」「はい、合ってますよ」というディスカッションの繰り返し、小さな小さな積み重ねがチームの「軸足をぶらさず」に最後まで走り切る事につながります。あんまり多くの言葉はいらないんです。「みなまで言うな」「アイコンタクト」の世界ですね。どっかの新聞社のプロ野球チームみたいに、札束詰まれて金に目がくらんだ4番ファーストの寄せ集めでペナントレースは戦えません。
 “適材適所”。それがあって初めてチームワークが生まれるんです。

 ここらへんから次回予告とアバンの台本が急速に泥臭くなってきましたね(苦笑)。
 佐藤順一監督曰く「池田節だよね」だそうですが、アドレナリンが出すぎていてよく覚えていません。


第24話「まだ続く すごい 特訓」

 レイラの減量の話です。
 ここは佐藤監督が描きたくても、尺の問題で描けなかったシーンが『レイラ物語』のほうで追加されています。
 また、そらの
 「なんで何も言ってくれないんですか? レイラさん!!!」
 の台詞。これは僕らが佐藤さんに問いたい言葉ですね(苦笑)。
 スタッフ一同、というか追崎君、平池君を含めた僕ら若造どもの心の叫びとして共感しますよ(汗)。今思えば、自由にやらせてもらえた事が、今の自分たちを形作っている事は理解できますし、それ以上に背中がモノを言ってくれていたので心地よいなぁと思えました。

● DVD「カレイドスター Stage.8」
(販売元:アトラス 第23〜26話を収録)
[Amazon]

第25話「ふたりの すごい 絆」

 アバンに、そらの「やらない後悔なんてそんなのいらない!」という台詞がありますが、これはDVD1巻限定版ライナー用にとった、広橋さんの佐藤監督との対談時の言葉を使わせてもらってます。シリーズ構成の吉田玲子さんもおっしゃっていますが、広橋さんは「リアルそら」なんです。“ボタンがあったらとりあえず押しちゃえ!”という感覚は、あってもなかなかできる事ではありません。また、やられたら周りの人間はヒヤヒヤもんなんですが、なぜだか、広橋さんとそらなら許せてしまう。“しょーがーねーなー”と付き合えてしまう。
 カレイドチーム全員が、彼女を「総大将」と呼ぶ由縁はそこにあるんじゃないですかね。

 次回予告の「そら、レイラ、そら、レイラ……」の繰り返し。これは収録直前まで迷いました。
 「やってもいいのか? 怒られるよな? でもやりたい。いや、やろう!」
 という感じで原稿を提出しました。
 収録時、音響監督の鶴岡さんが無言でこちらをチラ見。「ホントにやるの?」という圧力。普段なら「やっぱダメですかね?」的なニュアンスになってしまう僕も、この回ばかりは「やります。やらせてください」と強気(ごり押し?)でした。


第26話「傷だらけの すごい 復活」

 この第1期最終回のケツにつく次回予告は、実は3パターンあります。

 1)第26話本編からの通常のバージョン
  コレは文字どおり通常の予告。「次回カレイドスター云々」というやつです。
 2)枠変更情報入りバージョン
  コレは第2期(『新たなる翼』編)が一部地域で放送枠が変わる事を告知するためのもの。
 3)ロキつき
  放送時間枠に伴い、前番組「ロキ」の最終回のケツにつく「来週からこの時間は云々」という内容の原稿でした。

 DVDには通常版しか収められていないので、コンプリートしている方はいらっしゃらないと思うのですが、「通常」と「こんにちは」と「はじめまして」を区分けするのに四苦八苦した記憶があります。

 また、それ以外の思い出ですと、レイラが医務室で右肩をテーピングするシーン。
 サトジュンのコンテでは上半身“まっぱ”でした(苦笑)。そのあと担当演出さん等の作業によってあのような形に仕上がったのですが、ソレを観た佐藤さんは
 「そうだよね、やっぱり……そうだよな……」
 と苦笑いしておりました(笑)

 そんなこんなで第1期終了。
 特別編(総集編)を2本挟んで第2期『新たなる翼』編に突入です。
 まだまだ知名度も人気も底辺でしたが、ようやく勝機が見え始めた頃の話です。

■第9回へ続く


●公式サイト
(最新OVA『カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』の情報もこちらで)
http://www.kaleidostar.jp/

●『カレイドスター』のDVDシリーズはビデオショップなどで発売中。
[Amazon]
 


(05.12.16)

 
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