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COLUMN
池Pの すごい? カレイドスター回想録[池田東陽]

第12回 史上最強の凡人と白ユーリ、誕生

第37話「二人の すごい 悪魔」

 久しぶりの佐藤順一コンテ話数。
 「痛み」と「殺伐さ」を感じる話です。池田が「メイ萌え」なのは単にCVの「麻衣たんハァハァ」なだけではなく(や、それも大いにありますが)、この話が強烈に印象に残っているからです。
 「最強の凡人」誕生。庶民の雑草魂には激しく感情移入しました。のちに、自分が育てた妹分(ロゼ)も「選ばれし者」となり、厳しい現実を叩きつけられますが、そこらへんは佐藤順一脚本の続編、サウンドイリュージョン「トーラスステージ」を聴いていただけると補完できると思います。特にこのセリフ。
 「ステージの精(フール)だかなんだか知らないけど、私に見えるようになってから出直してきなさい!!」
 メイスキーな方はこちらも是非♪ って宣伝になってしまったよ……メイ万歳!(爆)
 仕方ないじゃんか、好きなんだから!! 池田は怒ってくれる女性じゃなきゃダメなんですよ!!(逆ギレ)

 ロゼッタ役の水橋かおりさんもDVDライナーノーツ(限定版)で同じニュアンスの事を言ってますが、身につまされるセリフのオンパレード話。この話は全話中でも最も「カレイド馬鹿」してる回のひとつだと思ってます。


●DVD「カレイドスター Stage.12」
(販売元:アトラス 第37〜39話を収録)
[Amazon]


第38話「天使の すごい 反撃」

 前々回の予告どおり、ここは担当演出のデーモンスパイラー“兄貴”玉川さんに振り返っていただきました。ただ……デーモンスパイラルに関しては特にコメントもなく(汗)、それ以外の現場的なエピソード4つなんですがね(笑)。でも、これがメチャクチャ面白かった♪ 全文掲載できないのがホント惜しいです。その中で池田のツボでふたつをチョイスさせてもらいました。うわぁ、知らなかった話ばかりだ……。ユーリファン必読(笑)。

 (以下、玉川さん)
 ●ユーリのセリフが合わなかった話
 この回で再登場したユーリですが、ホワイト・ユーリになっている……という事で、セリフのテンポを前とはちょっと変えてみようと試みました。セリフ自体を割とゆっくり目にして、穏やかにゆったり喋る。息継ぎや、センテンスとセンテンスのあいだの間も、前のユーリより、大きく変えたつもりです。
 ところがいざアフレコしてみると、役者さんがそれでは芝居できない事がわかりました。
 セリフを言う事はできても、ゆっくり喋るとユーリっぽくなくなってしまうのです。
 ユーリをユーリらしくしているのは、あの、セリフの途中でちょっと加速して早口めになる部分だということが分かりました。
 これは、こちらが迂闊でした。
 結果、役者さんには、自由に演技してもらって、後で絵の方を調節する、という方法で38話は乗り切りました。

 ●ユーリのアパートにある絵が、幼女の絵で溢れそうだった話
 ユーリのアパートに飾られているユーリが自分で描いた絵。これは原画マンに原画を発注し、ハーモニー(原画を元に美術で仕上げる)にして、背景の壁に貼りつけています。
 この原画が、「幼い女の子」ばかりで上がってきてしまいました。
 作画打ち合わせの時、原画マンにおまかせにしたのが悪かったのですが、まさか、こんなに女の子の比率が多いとは……(w
 ちなみに担当したのは、上手い原画マンの某氏です。
 自分の部屋に幼女の絵ばっかり飾ってるユーリ、また、そこにそらを招き入れる図は、そうとう笑えるんですが、さすがにそれはダメ(w という事で、原画マンに描き直してもらいました。
 天使の絵を見るそらの横のアングルで、向こう側の壁に、その女の子の絵の名残があります(w
 (以上)



第39話「残酷な すごい 祭典」

 この話、『キャプ翼』南葛の石崎君ほどじゃないですが、池田は大チョンボをします。
 フィルムや作品自体には影響しなかったのが救いですが、各アニメ誌に掲載していただく「あらすじ」の原稿でフライングしました。脚本決定のタイミングと入稿のタイミングのズレ……。
 「どんなエピソードにしようか?」という最初の打ち合わせで、サーカスフェスティバルの前大会はレイラさんが「あの技」で優勝! と、そこまで決まった時に、池田は「きっと、そらもこの技で今回逆襲するんだ!」と思い込んでしまったんですね。
 前回にここで書きましたが「あの技=ゴールデンフェニックス」が池田の脳ミソを支配していた頃です。あの頃の自分、やりたかったんでしょうね……今となっては意味がよくわかりません(苦笑)。
 実際に脚本打ち合わせの場でも、そのアイデアは話に出ていたので、入稿時の段階ではそのつもりで原稿を書いて入稿しました。しかし、改稿を重ねるにつれ、それが次第に変わっていき、「天使の技」の存在が明確化していきました。
 100%、入稿したことなんて忘れて打ち合わせしてましたね(苦笑)。
 結果、「あらすじ」と「本放送」ではツジツマの合わない事に。今、文面を読むとツジツマは何とか合うっぽいのですが、リアルタイムで観ていた方には誤解と違和感を与え、多くの指摘を受けました。そりゃそうだ。第37話で「ゴールデンフェニックス」を出しておいて、第38話で「天使の技」を出しておいて、第38話の「あらすじ」では“伝家の宝刀を抜く”なんて煽ってしまって……スンマセンでした(謝罪)。

 さてさてさて。
 次回、第40話は、佐藤&平池の両監督と渡辺はじめさんが揃いぶむ回です。てなワケで平池君、「あとヨロ!」(BY 第17話 サイモンパーク)


■第13回へ続く


●公式サイト
http://www.kaleidostar.jp/

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(06.01.27)

 
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