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COLUMN
池Pの すごい? カレイドスター回想録[池田東陽]

第16回 新しい夢のスタートライン

●DVD「カレイドスター Stage.16」
(販売元:アトラス 第49〜51話を収録)
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第49話「ひとりひとりの すごい 未来」

 アニメ注意事項は「レイラさんVer.3」。マッコリーとの絡みにしてみました。
 『レイラ物語』のマッコリーの描写はレイラ役の大原さんのアイデアが大きいのですが、それをすんなりと受け入れられた、というか「マッコリーはそうだよね」とうなずけたのは、池田自身もすでにマッコリーを意識していた証拠ですね。

 本編第17話「燃えろ! すごい ミア」やサウンドイリュージョンの4でもそうですが、「ディレクター(ミア)」が描かれる話は“みんなでモノを創る事”の意味というテーマが凝縮されています。
 冒頭付近のミアとキャシーとジャンとの絡みのシーン。こういう事を先輩から教わって叩き込まれ、それと同時にジャンのような手を差し伸べる先輩がいてくれる。このシーンを思い出しながら、TV最終回(51話)冒頭のミアとジャンのシーンを観ると、感慨深い気持ちになれます。
 池田的には「あ、ミア惚れたな……っていうか、それじゃミアがマリオンのママに?」とか思っちゃってます(笑)。でも、あながち……。

 作画面では「犬」に続き「鳥」で作監協力というクレジット和田さんの、作業当時のPCモニターに白鳥の動きの分割画像が映っていたことは忘れません。
 「やっぱり すごい 資料魔」

 あ、あとジョナサンが……。放送コードギリギリですね(爆)。



第50話「避けられない ものすごい 一騎討ち」

 佐藤監督チェック後のコンテ決定稿が上がってから、担当演出の平池監督と話しました。
 池田「コンテ読んだ?」
 平池「うん……。あれ……あれで最終回でいいんじゃない?(汗)」
 という会話を交わしたくらい鳥肌か立ちました。そこでサブタイトルの「すごい」を「ものすごい」に変更。
 この話はきっちりとオープニングからキッチリと見てほしいですね。
 仰向けに寝ころんで「あの日の右腕」をかかげ、何かつぶやくそら。
 その言葉は間違いなくあの人の名前。
 最後のレオンのカットと冒頭のポスター(くるくる回る球体のオブジェ)のカットは時間が許されれば、この回だけ変更したかった。でもそのアイデアを思いついたタイミングは“時すでに遅し”。どう考えても差し替えできる時期ではありませんでした。
 平池監督に恐る恐る尋ねてみたら“即答”で「無理」との返答。
 そりゃそうだ。やってやれないこともある(苦笑)

 この回のアバン用原稿と、前話数(第49話)のケツにつく次回予告は特に印象深いですね。
 何か病的なこだわりを持って、とりつかれたように書いていたのを覚えています。最終回用の次回予告も同時に一気に仕上げました。
 佐藤監督から、
 「あの池田節は俺には書けないよ」
 と言われた時は、この仕事(ナレーション原稿)を受けてホントによかったと思いました。
 僕はクリエイターではないので、現場的な作業は本来何もできません。やってはいけないと思っています。現場はクリエイターのものだと思っているからです。だけど、こんな大事なポジションを“やってみるか?”と任せてくれた佐藤監督には感謝しています。このフィルムに“現場”として参加できた事が無邪気に嬉しかった。



 第51話「約束の すごい 場所へ」

 この話も急遽サブタイトルを変更させてもらいました。
 ただ、どうしても「約束の場所へ(カレイドスターズVer)」を最後に使いたかった(聞きたくなった)ので佐藤監督に相談し、それに合わせて決まっていたサブタイもこれに変更。
 公式ファンクラブ旗揚げイベントで初お披露目した5人の歌。“もう2度と聞けないかもしれない”という思いがそうさせたんでしょうね。幸運にも公式ファンクラブファイナルで5人が揃い踏む事ができたので“もう1回”ができました。
 事前発表ではミア役のちな姉さんのスケジュールが調整できていなかったので“無理かな?”と思っていました。
 ところが本人は、
 「絶対に出る!」
 と『鳥人戦隊ジェットマン』のクライマックスよろしく、グレイとの一騎討ちを終え、みんなのもとに駆けつけたブラックコンドル結城凱のごとく、
 「4人じゃねぇ! 5人だ!!」
 と駆けつけてくれました。今でこそ言えますが、あの時のちな姉さんはすでにお腹に新しい命をみごもっていらっしゃいました。でも、こちらが心配になるほど元気に飛び跳ねて歌ってくれたんです。

 池田的にはホントはラストの桟橋のシーンでレイラに涙をこぼさせてあげたかった。
 シナリオ打ち合わせの段階で隣に座っていた人を立たせて、その人をそらに見立てて、
 「こうやって泣くんです」
 と体で表現してみんなに説明までしました(苦笑)。
 結局レイラは瞳を潤ませはしましたが、涙はこぼしませんでした。
 しかし、この時は『レイラ物語』の構想は頭になかったので、今となっては“あの時こぼれなくてよかった”と胸をなでおろしています(安堵)。


 これにて、ようやくTVシリーズ全51話レビュー終了です。
 おつき合いいただき読んでくださった方々、ありがとうございました♪
 途中から小黒編集長から指示された文字数を大幅にオーバーしちゃってますが(汗)。すんませんでした。

 が、ホッとしたのも束の間。てっきり今回で最終回かと思っていたら、小黒さんからOVA『笑わない すごい お姫様』(第52話)とOVA『レイラ・ハミルトン物語』のレビューも含めて、あと3回分の依頼をいただいちゃいました。なので、もうちょっとだけ書かせてもらいますのでヨロシクです。
 ただ……スイマセン、ちょっと現在お仕事がテンコ盛り状態でして(大汗)、来週は「第16.5回』的な扱いにさせていただきますm(_ _)m

■第16.5回へ続く


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(06.02.24)

 
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