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COLUMN
池Pの すごい? カレイドスター回想録[池田東陽]

第11回 親父の背中……もとい

●DVD「カレイドスター Stage.11」
(販売元:アトラス 第34〜36話を収録)
[Amazon]


第34話「やっぱり すごい レイラさん」

 この話の中で、レイラさんがオフブロードウェイに来た頃に受けた中傷を回想するシーンがあります。そのシーンのレッスン着の背中姿が縦PANするカット。
 実は、これが『レイラ・ハミルトン物語』のジャケットの発端になりました。
 池田はこのカットのあまりのカッコよさに惚れてしまい、四谷の居酒屋で佐藤監督と追崎君と制作進行の金子真枝に
 「『レイラ・ハミルトン物語』のジャケットは“背中”っすよ! 黙って背中で語るんすよ!」
 と酔っ払いながら話しました。
 いやぁ、言ってみるもんだ(笑)、3人とも賛同してくれました。
 その結果……昨年スタッフ&役者で行った「アレグリア2旅行」の集合場所(名古屋駅)の目印は、このカットの旗……と言っても金子のバカチンが作ってきた、「プリントアウトになんかの棒をセロテープでくっつけただけ」の代物。たぶん制作時間10秒くらい……(呆)。
 『ガッシュ』のバルカン300の制作時間より早いです。台なしです。
 ガイドさんよろしくで強引に「ソレ」を持たされていた大原さやかさんが不憫でした(笑)。

 今回の演目「サロメ・イン・ベガス」ですが、正直シナリオの段階で、コレをどこまでアニメで(特にカレイドで)表現できるものなのか分かっていませんでした。これまでのカレイドステージでの演目の場合、「アニメなんだからバーン! っていっちゃえ!!」で表現できました。言い換えれば「アニメの面白さ=ハッタリ」で勝負ですね。
 しかし今回は「演劇」というステージ。客席に対する体の向きや、体現芝居、台詞芝居、照明演出……どれをとっても今までとは違った表現になります。
 かなり内心ヒヤヒヤしていたのですが、いらぬ心配でした。アフレコ後、佐藤監督と2人で歩きながら「成功ですね」と話し、数日後に現場スタッフが完成させてくれたフィルムを観て感謝しました。

P.S.
 でも、まあ、「アニメの面白さ=ハッタリ」についてなんですが……。
 実際に放送終了後に「ひとり打ち上げラスベガス旅行」をして本場のシルクを観てきたら、普通に客席で「熱いよ!」くらい炎がバンバン吹き上がってたり、普通に「ビショビショだよ!」くらい水がジャージャー噴射してたり、普通に吊るされた船の上で飛び回ってたりしてるのを目の当たりにして、「うわ……余裕でアニメ越えてるじゃん……ダメじゃん」と大ショックを受けました。
 映画『オーシャンズ11』のラストシーン(噴水ショー)で有名なホテルのカジノバーの卓でチップ張って「凹み&大興奮」しながら酒を飲んでいたのを覚えています。


第35話「マリオンの すごい デビュー」

 かつてカレイドステージのトランポリンの花形だったマリオンの母・シンシアが生前に残した「ステージメモ」ですが、これは実際にシンシアと同年代の欧米人の女性に書いてもらっています。日本人が見よう見真似で書くとどうしても、アルファベットの書きなぐり(単語の使い方)や、イラストのテイストが嘘っぽく見えてしまう。センスが全く違うんですね。いくらCG技術が進歩してハイクオリティな素材を創れるようになろうが、こればかりは真似ができません。僕は英語なんて喋れませんから、必死にキッズステージの演目内容とマリオンの設定(生い立ち等)を身振り手振りを交え、単語を並べて説明して描いてもらいました。DVDを一時停止やズームなどして観返して、解読してみると、また違った新たな発見もあると思いますので暇な方は是非♪
 マリオンの新しい髪形を「ピッグテール」と呼ぶのも、この欧米女性と話して初めて知りました。「ポニーの尻尾」ならぬ「豚の尻尾」。なるほどです。


第36話「レオンとの すごい 特訓」

 この話に関しては池田個人は、現場的な事よりも「ゴールデンフェニックス」が再び日の目を見た事が嬉しかったという印象があります。
 沢山の「技」が登場するカレイドですが、「ゴールデンフェニックス」という技はカレイドの「出発点=最初の大技」だったので、思い入れも半端ではありませんでした。
 今となってはレイラさんの代名詞として、ファンの方々の間にすっかり定着したこの単語。
 以前にここで、「ロゼッタというタレント」をプロデュースしていた時期の事を書きましたが、この時期はコレを単なる「技名」としてではなく、レイラさんの「異名」として定着させようと脳ミソを使っていた時期です。
 この単語を第50話のアバン(冒頭のレイラ語り)の原稿の“キメ”に書くまで、1年かけて暖め続けられた事はよかったし、そして、その結果がOVA『Legend of phoenix』実現につながりました。おそらく「ゴールデンフェニックス=黄金の不死鳥」が定着していなければ実現しなかった企画です。
 「サーカスフェスティバル」というエピソードさまさまですね。

 さてさてさて。
 次回からは本当の低迷期と呼ばれる暗い展開が始まります。
 やっと温まった温度と反比例した展開。それによって、多くのファンの方から「見限られた時期」に突入です。ただ、“ここ”を我慢してつき合ってくれた(待ってくれていた)ファンがいて、同時に僕らとしては最高のテンション(=満身創痍)でクライマックスに向かうのでした。


■第12回へ続く


●公式サイト
http://www.kaleidostar.jp/

●『カレイドスター』のDVDシリーズはビデオショップなどで発売中。最新OVA『カレイドスター Legend of phoenix 〜レイラ・ハミルトン物語〜』もいよいよ発売!!
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(06.01.20)

 
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