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第24回
「ふたりはプリキュア Max Heart オリジナル・サウンドトラック
プリキュアサウンドスクリュー! Max!!Spark!!」
ついに『MaxHeart』シリーズのサントラが発売! 新規録音曲の大半を網羅した大充実盤だ!
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大好評のうちに現在はキャラクターを一新した3シリーズ目に突入している『ふたりはプリキュア』。劇場版も2作制作されるなど、人気の裏打ちによる安定したシリーズとなった2作目『ふたりはプリキュア Max
Heat』の音楽集である。本盤の発売は1月末と、番組も終盤に差し掛かった時期で、なかなかリリースされないサントラにやきもきしたファンも多いのではないだろうか。が、シリーズが次作にバトンタッチされる直前の発売になったことで、最終回のために作られた挿入歌「旅立ちの朝に」が収録されるというボーナスもあり、待ちに待っただけのことはある充実の1枚だ。
音楽担当はもちろん、すべての『プリキュア』シリーズに参加している佐藤直紀。佐藤にとって『プリキュア』は、実写の映画&ドラマの「海猿」と並ぶレギュラー登板シリーズであり、『プリキュア』ならではのサウンド・イメージをしっかり構築し、より艶やかさも付け加える余裕の仕事ぶりを聴かせてくれる。日本劇伴サイトの老舗「劇伴倶楽部」の腹巻猫が担当するライナーノーツによれば、『プリキュア』シリーズへの佐藤の起用は、「大は小をかねる」というものだったとか。指名したのは音楽ディレクターの藤田昭彦。派手なオーケストレーションで知られる佐藤の力量があれば、可愛い音楽も書けるはずである、という認識に基づいてのことだった。これは本当に大当たりだったといっていい。
前作のキャラクターが受け継がれた『プリキュア Max Heart』では、音楽も第1シリーズのものを引き続き使用しており、本作の新規録音分は番組の新要素に合わせた追加分的な形。サブタイトル音楽やOP、EDのアレンジ曲、キャラクターやアイテム、必殺技関連の楽曲など、メニューはミニマムなラインナップだが、それゆえにアルバムとしてまとまると、いわゆる「捨て曲」的トラックは皆無の丸特重要ナンバーつるべ打ち状態、超高密度盤に仕上がっている。
楽曲の構成もサントラ・ファン的には一番理想に近いスタイル。まずは前シリーズのオープニングを、随所に「Max HeaRt」コーラスを加えて一気にゴージャズ化した主題歌「DANZEN!ふたりはプリキュア(Ver.Max Heart)」のTVサイズに始まり、冒頭シーンの呑気な平和曲、サブタイトル、佐藤が作曲の腕を振るった新エンディング曲の変奏による学園テーマ、悪の登場、変身と続き、個人的には一番聴きたかったアクション曲の「三人の絆」で前半のクライマックスに到達。「ムリムリ!?ありあり!!INじゃぁな〜い?!」のTVサイズと予告編用音楽(実際は未使用)で一旦締めくくる。
アイキャッチ音楽を挟んで始まる後半戦は、番組の最終クールに向けて録音された『Max Heart』としての追加録音分であるM-300番台の音楽を中心に、番組の展開に沿ったシリアスな楽曲が並ぶ。プリキュアのパワーアップ音楽や新必殺技のための音楽が次々に現れ、これまた待ちに待っていた「DANZEN!ふたりはプリキュア(Ver.Max Heart)」のインストゥルメンタルが、ここを先途と煌びやかに炸裂する。これが欲しかったのよ!! 佐藤ならではの叙情感に満ちたEDバリエーションで大団円。第2エンディング「ワンダー☆ウインター☆ヤッター!!」のTVサイズがしっかり収められ、カーテンコールのごとく前述の「旅立ちの朝に」でオーラスを迎える。最高!
ライナーノーツにはBGMリストも完備。『プリキュア』ファン、サントラ・ファンへ向けての商品としては、一分の隙もない鉄壁の完成度である。レンタルで聴いて済まそうなんてことをしたらバチが当たる。皆さん、買いましょう!
■DATA
「ふたりはプリキュア Max Heat オリジナル・サウンドトラック
プリキュアサウンドスクリュー!Max!!Spark!!」
全39トラック 収録時間:55分25秒
発売元 株式会社 マーベラスエンターテイメント
販売元 ジェネオン エンターテイメント 株式会社
MJCD-20048
2006年1月25日発売 定価3150円(税込)
[Amazon]
■執筆者から一言
本欄でまたしても訃報について触れなければならないのは本当に辛い。それが宮川泰さんということであればなおさらだ。去る3月21日に作曲家の宮川泰さんが75歳で亡くなられた。我々アニメ好き、アニメ音楽好きにとっては……いや、今や一般的にも『宇宙戦艦ヤマト』の音楽担当として生涯忘れ得ぬ作家の1人といえるだろう。『ヤマト』がなければ、日本のアニメ音楽は現在のような完成度を持つに至ったかどうか疑問だし、アニメの音楽がサントラとしてまとめられるのも、ずっと遅れていたに違いない。
個人的には、『宇宙戦艦ヤマト』の新アニメシリーズを踏まえたイメージ・アルバム作りや、松本零士作品のコンサート「幻想軌道」などでお仕事をご一緒させていただいた。私のような者にも、TVで拝見するのと変わらないサービス精神で接していただいたことが本当にありがたく、また懐かしく思い出される。
また、昔キングレコードで作らせていただいた特撮SF映画を集めたCD BOX「怪獣王」が日本レコード大賞の企画賞を受賞した際、選考委員として宮川さんがこのCDの意義を認めて推挙していただいた、と後で知った。その意味では大恩人でもある。
25日に青山葬儀場で行われた告別式では出棺に際して、3人の奏者が「真っ赤なスカーフ」をトランペットで演奏。宮川さんに縁のある有志の吹奏楽が演奏する「宇宙戦艦ヤマト」の主題曲をバックに、お見送りさせていただいたときは心が締めつけられる思いだった。
翌26日には、晩年の宮川さんが続けていた日本フィルとのサンデー・コンサートがすでにスケジュールに乗っていた。告別式の翌日という状況の中、当初の予定どおりにご長男の宮川彬良さんが父親から受け継ぐ形でオーケストラの指揮を務めた。メインの演目は期せずして『宇宙戦艦ヤマト』の放映30周年を祝した「僕が愛した宇宙戦艦ヤマト」。筆者も多くの『ヤマト』ファンと一緒に、名曲の数々に浸り切らせていただいた。
アンコール、彬良さんと、宮川泰さんゆかりの名サックス奏者・平原まことさんによる「メモリーズ・オブ・ユー」には涙が止まらなかった。 |
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