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REVIEW
CD NAVIGATION[早川優]

第14回
「山本正之 電影ワールド ヤッターマン オリジナル・サウンドトラック」
誰もが夢見た「タイムボカン・シリーズ」の音楽を一挙に補完! シリーズ第2回アルバムはIN STORE NOW!!
〜待望の初音盤化! 全108曲! びっくりドッキリCD発進!!〜

 以前、本コーナーのおまけ欄で触れさせていただいたように、「タイムボカン・シリーズ」を1作毎にサントラ・アルバム化する「山本正之電影ワールド」の企画に関わらせていただいている。その第2回リリースとなる『ヤッターマン』が発売された。
 第1弾CD『タイムボカン』では包括的な音楽解説を書かせていただいたが、今回の『ヤッターマン』では構成と楽曲解説を担当させていただいた。その後のシリーズのフォーマットを決定づけた『ヤッターマン』は、「タイムボカン・シリーズ」の中でも屈指の人気を誇る。もちろん筆者自身も強い思い入れがあることは言うまでもないが、ファンそれぞれが独自のイメージを(音楽に対しても)抱いている作品のサントラを、放映から30年近い年数を経て編むのは、なかなか骨の折れる作業だった。なにせ『ヤッターマン』のために作られた背景音楽の数は185曲。放映話数も人の煩悩の数と同じ108本に上り、音楽の使用状況をチェックするのにも少々時間を要した。
 ご存じの通り、『ヤッターマン』には黄金の物語パターンがある。まずは、ドロンボー一味がドクロストーンを探しに出かけるメカ作りの資金集めに行うインチキ商売からスタート。次いで陰謀をかぎつけたヤッターマンの出動、現地でのゲスト・キャラとの交流。アクション・タイムはヤッターマンとドロンボー一味の等身大バトルで口火を切り、続いてメカ同士の戦い、最後はゾロメカによる決戦と3段階を踏む。そして、逃走するドロンボー一味がドクロベエ様からお仕置きを受け、大団円の中、ヤッターマンが去っていくというのが大まかなフォーマットだ。山本正之さんと神保正明さんによる音楽も、ヤッターマンの変身テーマやゾロメカの行進曲など、それぞれの場面に定番的に使われるものがあり、これらをいかに自然な流れの中に配置してお聴かせできるかというのが悩みどころだった。また、シーン定番曲があるといっても、時には変化球的選曲もあって、そっちの方がいつもと違う分だけ印象に残っていることは多いし、長期シリーズならではの主役側メカニック交代劇や作品フォーマットの変化に伴う定番曲の変遷なども盛り込みたいと思ったもので、いつもながらパズルを組み立てる思いで構成していった。その結果は……素晴らしい音楽はもとより、『ヤッターマン』という作品自体の輝きを貶めることになっていないことを祈りたい。
 まあ、所詮はCD構成などの裏方のそのまた裏話に属すること。本来どうでもいいことであり、自分でもここまで書いていてさすがに面映ゆくなってきた。
 CDを作らせていただくために短期間で『ヤッターマン』を観直してみて、改めて時代を変える力をもったヒット作品がもつ有無を言わせぬ勢いの強さを感じた。ルーティーンに思える展開の中に詰め込まれたアイディアの豊富さ、アニメならでの面白さに満ちた演出やプロフェッショナルな声優諸氏の芝居ぶりと、エピソードを立て続けに観ても飽きのこないことには驚いた。私にとっての最愛の2次元キャラクターの1人であるヤッターマン2号の愛らしさもあるしね。
 ということで、現在は3枚目のリリースとなる『ゼンダマン』を鋭意構成中。このシリーズへの応援を切にお願い申し上げます。
(執筆/早川 優)

■DATA
山本正之 電影ワールド ヤッターマン オリジナル・サウンドトラック
全99トラック 収録時間:77分27秒
キングレコード(販売)・ビー!スマイル(発売) KICA 1378
2005年10月26日発売 定価2600円(税込)
[Amazon]
 

●番外編1へ続く

(05.11.08)

 
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編集・著作:スタジオ雄  協力: スタイル
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