|
|
番外編1
『わんぱく探偵団』DVDに音声特典を収録! |
先日、コロムビアミュージックエンタテインメントさんからリリースされる虫プロの『わんぱく探偵団』DVDに関わらせていただいた。このシリーズでは、過去『アニマル1』『さすらいの太陽』に音声特典として劇中の音楽や挿入歌を収録してきたが、今回も音声特典の収録が実現したのだ。昨今、旧作のアニメではなかなか単独サントラの企画が通りにくいこともあり、DVD-BOXの中に音楽素材を生のまま収録できる機会は本当に貴重だし、その作品のファンにとっては大いに歓迎されるものであると信じる。
『わんぱく探偵団』の音楽担当は山下毅雄。古いファンには説明の要もないだろうけれど、アニメでは『ルパン三世(旧)』や『ガンバの冒険』、特撮テレビ映画では「悪魔くん」「ジャイアント ロボ」を手がけた作曲家だ。その作風は、現場録音のフィーリングを最大限に活かしたジャズ、ロック・テイストにあふれ、最近はファンから“ヤマタケ・サウンド”と呼称されている。『ルパン』や『ガンバ』のエンディング、『佐武と市捕物控』のテーマ等に代表されるように哀愁を帯びた独特のメロディ・ラインは、番組のテーマ音楽には打ってつけであり、自身が得意とする口笛を楽曲中に積極的に取り入れることも知られている。
『わんぱく』では、原典たる「少年探偵団」のラジオドラマから受け継ぐ有名な主題歌を、歌詞を一部変えて使用しているため、一見、ヤマタケ・サウンドのメインストリームから外れているような印象があるが、どうしてどうして、劇中の音楽は江戸川乱歩のミステリ世界にぴったりマッチする怪しさだし、主題歌のアレンジも「丸出だめ夫」や「ジャイアント ロボ」を想起させるヤマタケ・マーチのフィーリングに満ちたカッコイイ仕上がりだ。
中でも最高の名曲は「怪人二十面相はうたう」と題された挿入歌。劇中でも二十面相の正体が暴かれて逃走する場面などにアレンジ曲が頻繁に使われるが、「悪魔くん」のオープニングでミステリアスなヴーカリーズを聞かせた水島早苗のスキャットを従えて、世良芳明がテノールの魅力を響かせる歌入り版はヤマケタ節が最高潮に発揮されたアニソン・ファン必聴の一曲だ。今回、音楽テープをチェックしたところ、この曲のカラオケ録音は山下毅雄の執拗なダメ出しでテイクが重ねられ、水島嬢が咽を痛めたのはでないかと危惧されるような生々しいセッションの模様が残されていた。改めて、山下毅雄という作曲家の、作曲時よりも録音現場での作業を重視した仕事ぶりが伝わってきた。
この挿入歌、当時は朝日ソノラマのソノシートのみに収録されていた楽曲で、2回に及ぶCD化の機会にもモノラルでの収録だった。今回は何と、虫プロさん保管のマスターテープから、TV用の主題歌ともどもステレオにて初収録! ヤマタケ節全開の劇中音楽ともども、多くの方にお楽しみ願える内容になったと自負している。
(執筆/早川 優)
■DATA
「わんぱく探偵団DVD-BOX」
XT-2186〜2191/モノクロ/約770分(26話収録)/5枚組/ドルビーデジタル(モノラル)/片面2層/スタンダード
価格:37,800円(税込)
発売日:2005年12月28日
特典映像:オープニング(別バージョン、提供なしバージョン、ノンテロップ)、「青銅の魔人」サブタイトル未使用バージョン
音声特典:わんぱく探偵団かぞえうた(未使用エンディング版)、サウンドトラック(26曲)、番宣スポット(30秒、15秒)
発売・販売元:コロムビアミュージックエンタテインメント
[Amazon] |
|
|