もっとアニメを観よう2011
第6回 辻田邦夫が選んだ
「バーのカウンターで女性に薦めるアニメ20本」
- 『銀河鉄道999[劇場]』
- 『さよなら銀河鉄道999』
- 『エースをねらえ![劇場]』
- 『時をかける少女』
- 『ONEPIECE FILM STRONG WORLD』
- 『宇宙戦艦ヤマト[TV]』
- 『未来少年コナン[TV]』
- 『ルパン三世[TV第1作]』
- 『ルパン三世 カリオストロの城』
- 『侍 ジャイアンツ』
- 『カレイドスター』
- 『少女革命ウテナ』
- 『花より男子』
- 『おジャ魔女どれみ』シリーズ
- 『も〜っと! おジャ魔女どれみ カエル石のヒミツ』
- 『Paradise kiss』
- 『のだめカンタービレ』
- 『墓場鬼太郎』
- 『けいおん!』
- 『四畳半神話大系』
たとえば、バーのカウンターでたまたま居合わせた20代半ばくらいの女性たちにオジサンが薦めるアニメ20タイトル、という基準で選んでみました。
「じゃ、まずはアニメ映画ね。ほら『ナウシカ』とか『トトロ』なんかはさあ、毎年1回くらいTVでやるじゃない? だからそういうのじゃないヤツからね」
「まずはなんと言ってもこれ。劇場版『銀河鉄道999』と、その続編の『さよなら銀河鉄道999』。これがいいのよ! 原作のマンガやTVよりね、もうちょっと大人っぽくなってるのさ、鉄郎が。この鉄郎がいいんだよね! でもってメーテルがまた「謎の女」感いっぱいでこれがまたいい! まさにね、少年から大人へ、って感じの映画でね。まさに感動の1本ってヤツ!」
「もうちょっと女の子向けだと、じゃ、コレ。劇場版『エースをねらえ!』これもねえ、いいんだよね。テニスものの最高峰。泣けるの。ひろみとお蝶夫人、ひろみと宗方コーチがねえ、いいんだよねえ。ほら、現役復帰してバリバリ戦ってるクルム伊達公子さん。きっと彼女も観てたと思うんだよね。え? いや、確認したワケじゃないけどさ」
「ところでみんなはさあ『サマーウォーズ』とかは観た? あ、そう。じゃこっちはどうかな? 『時をかける少女』。これもオススメ。その昔、っていうか、オジサンがまだ20歳くらいだった頃に原田知世ちゃん主演で映画になってね。で、そのお話とはちょっと違うんだけどね、はつらつとしてて、それでいて切なくって。いい歳して泣いちゃったモノ。ラストシーン、夕焼けで河原であの台詞。正しく高校生やってきた人は号泣必至だよ。もう泣けちゃうんだよ(号泣)」
「『サマーウォーズ』の話が出たところで、『ONEPIECE FILM STRONG WORLD』。ほら、『STRONG WORLD』だから『SW』でしょ? 同じ『SW』繋がりってことで。あ、ま、それだけなんだけども(汗)。あ、いや、これもねえ、よくできてるんだよ。みんな好きでしょ? 『ONEPIECE』は。なら、これはオススメの1本!」
「次はTVアニメのオススメね。ちょっと……っていうかだいぶ古いけど『宇宙戦艦ヤマト』。ほら、キムタク主演で映画になったでしょ? アレの大もとのお話ね。これが大昔のアニメブームの第1号だったわけさ。ああ、オジサンの子供の頃のことだよ。このね、森雪ってヒロインがよくってねえ。みんな男は恋しちゃった(笑)。で、子供ながらにね、沖田艦長の男の生きざまにすっごくあこがれたねえ。それにしてもさ、実写版で森雪やった黒木メイサってさ、ほんと、松本零士の描く美女そのまんまなんだよねえ。ホントにいるんだねえ、ああいう顔立ちの美人って! ドキドキしちゃった!」
「昔のTVアニメっていいヤツ多くてさ。あ、今のもいいヤツいっぱいあるんだけどね。あ、で、そうそう古くていいヤツ。『未来少年コナン』に『ルパン三世』のイチバン最初のシリーズ。『未来少年コナン』はあの宮崎駿が監督してて、NHKでやった初めての30分アニメなんだよ。『ルパン三世』は「新」とか言って後からいっぱい作られちゃうんだけどもね、赤いジャケットで。やっぱりさ、最初のね、ほら緑色のジャケットのヤツがさ、これが渋くていいんだよ。男臭くってカッコよくって!」
「あ、TVの『ルパン三世』オススメしたらやっぱりこれは外せないよね。『ルパン三世 カリオストロの城』。これはルパンの最高傑作だね! ルパンとその一味、そして銭形警部が、最後見事に正義の味方やっちゃう爽やかなお話。そうなんだよね、そもそもルパンってさあ、泥棒さんなんだよね。それを一瞬忘れちゃう。で、最後はクラリスお嬢さんのハートを盗んでいっちゃうの! そしてジャケットが緑色なのもいいねえ」
「そうそう、アニメっていえばやっぱり『スポ根もの』も外せないよね。僕のオススメは『侍 ジャイアンツ』に『エースをねらえ!』なんだけど、『エースをねらえ!』はさっき劇場版オススメしちゃったから、ちょっとひねって『カレイドスター』」
「『侍 ジャイアンツ』はね、その名のとおり野球もの。とっても破天荒なヤツがジャイアンツに入って、次々に魔球を編み出して、で、ジャイアンツを優勝させちゃうってお話。『巨人の星』っていうのもむかしあったんだけど、こっちはすごくストイックなお話だったのね。それよりもこの『侍 ジャイアンツ』はドッカ〜ン! って感じ(笑)」
「『カレイドスター』ってのは、いわゆるスポーツものじゃあないんだけど、ほら、シルク・ドゥ・ソレイユって知ってる? そうそう、あのサーカスみたいなヤツ。主人公の女の子ががんばってがんばって、ああいうショーのスターになっていくお話。レイラさんっていうライバルがいてさ、彼女は看板スターなんだけど、そのレイラさんに挑んで挑んでいって、そして最後には越えていくんだよ。これはねえ、熱くなるねえ、気持ちが! もうね、みんなハマるよ、これには!」
「『ボクっ娘』って流行ってるけど、この『少女革命ウテナ』の主人公ウテナもさ、自分のこと「ボク」って言ってるんだよね。ま、今流行のとはちょい違うんだけど。男装の美少女ウテナ、薔薇の花嫁・アンシー、美男美女の謎の生徒会、そして決闘! ね? 気になるでしょ? 画面がね、すごくキレイでそこへ音楽がまたすごい! これもぜひ観て」
「大ヒットしたTVドラマでさ『花より男子』ってあったじゃない? あれのずいぶん前にTVアニメでやってたんだよ、『花より男子』。これもなかなか見応えあってオススメ。井上真央やマツジュンは出てないけど、やっぱりさ、マンガはアニメで観たいよね? でも声はね、持田真樹に宮下直樹、山本耕史なんかがやってて、これまたなかなかよかったのよ」
「この『花より男子』もそうなんだけど、ほら、いま『プリキュア』やってる日曜の朝って名作ぞろいでね、『おジャ魔女どれみ』のシリーズもそんなののひとつ。このあたりはひょっとして観てたんじゃない? あ、観てくれてたんだ! うんうん。これいいよねえ。こういうのがさ、殺伐としてなくってさ、小学生の頃僕ら誰もがみんな体験したようなことがお話になってて、いいんだよねえ。これは時代を超えて子供たちみんなに観てほしいよね」
「『おジャ魔女どれみ』って実は映画にもなってるんだけどね、中でもこの『も〜っと! おジャ魔女どれみ カエル石のヒミツ』ってのがね、とってもオススメ。夏休みに田舎のおじいちゃんのところへ遊びにいった話なんだけどさ、いま僕らが観てもじ〜んときちゃう。映画館でさ、子供にせがまれて連れてきたお母さんの方が観て感動して泣いちゃったって話、ずいぶんあったんだよ。ああ、また観たくなっちゃったな」
「みんなはさ、深夜のアニメって結構観たりしてる? じゃ、これ知ってるかな? 『Paradise kiss』。これはね、『NANA』の矢沢あいのマンガ『ご近所物語』ってヤツの続編でね、『Zipper』ってファッション雑誌に連載されてたんだよ。あ、『ご近所物語』もアニメになったんだよ。で、そうそう、ファッション系の専門学校生とそいつらとの関わりで自分に目覚めていく女子高生のお話。連載始まったの読んでさあ、このお話が大好きでねえ、矢沢さんに言ったんだよね『アニメ化したいです』。そしたらさあ「じゃあ、お金集めてプロデューサーやって」って言われてさ(笑)。でもそんなの僕にできるわけもなくって、で、いつの間にかアニメ化されてた、違う会社で(笑)。それがこれなんだけど、いやあ、もうステキ。やっぱさ、こういうのってセンスなんだろうねえ」
「同じ時間帯でやってたヤツで、やっぱ外せないのは『のだめカンタービレ』と『墓場鬼太郎』でしょう! え? 両方とも観てた? うんうん、そうだよねえ、いいよねえ」
「『のだめカンタービレ』は最後のシリーズが特によかったねえ。まさかのソロリサイタルには鳥肌だったねえ。あと、エンディングの曲がよかったんだよ。あ〜、なんだっけ? タイトル(汗)。あ〜、出てこない(汗)。こういうシッカリした続き物のアニメって、まとめて全部、最初っから観たくなるよね」
「NHKで『ゲゲゲの女房』がヒットしたじゃない? 観てた? あ、会社あるから録画して観たんだ(笑)。あのなかでもやってた水木さんの描いた初期の鬼太郎がこの『墓場鬼太郎』だったんだよね。そうそう、正義の味方じゃない鬼太郎(笑)。いかにも深夜アニメにふさわしい出来でよかったよね」
「これもね、深夜だったんだよね『けいおん!』。最近ハマっちゃってね。なんともいいよねえ。ほんわりしてて。なんか懐かしさもあって。あ、これ『けいおん』ぢゃなくって『けいおん!』なんだって。『!』が絶対いるんだって。twitterでね、つい『けいおん』って書いちゃったらさ、フォロワーさんから怒られちゃってさ(笑)。そうそう、ウチの奥さん、実はむかし学生バンドやってて、で、観てて嬉しくなっちゃったって。こんど劇場版もあるみたいだし、期待しちゃうねえ」
「『けいおん!』って、舞台が京都市の鴨川の上の方の出町柳あたりらしいんだよ。で、同じ出町柳から鴨川デルタ、下鴨神社あたり、っていうか京都大学もだけど、そのあたりが舞台なのが『四畳半神話大系』。これはとってもオシャレって言われてるんだけどさ、なんて言うのかな、いくつもの並行してる時間のお話、っていうかまあある意味SFっていうかさ。もうね、観てると不思議にグイグイはまっちゃうんだよ。これもね、最後爽やかにスッキリいい感じで見終われるアニメ」
「やっぱアニメっていいよねえ。見終わって気持ちよくって『よしっ!』ってなれるのがいいよねえ。ん? あれ? もう終電? あ、じゃ、ああ、いいよ、いいよ、今夜はオジサンのおごりってことで。うんうん。それじゃ。アニメよろしくねえ。ばいば〜い」
●PROFILE
辻田邦夫 数多くの作品で色彩設計・色指定を手がけ、代表作に『おジャ魔女どれみ』シリーズや『花より男子』『カレイドスター』『墓場鬼太郎』『四畳半神話大系』などがある。WEBアニメスタイルにて「色彩設計おぼえがき」を連載中。公式サイトは「kunion's cafe」、Twitterのアカウントは @92on。
(10.12.08)