もっとアニメを観よう2011
第22回 荒木哲郎が選んだ
「思春期に刺さるアニメ5本」
湧き出る性欲と、それを恥じる自意識に苦しむ思春期男子を慰めるために、アニメはこの世に生まれた。そんな思春期ゴコロを刺すアニメです。
●『銀河鉄道999』[劇場]
男の子の好きなもの大集合。美人のお姉さん、メカニック、ステーキやラーメン、そして超絶かっこいい不良のお兄さんが僕を認めてくれて……もう最高です。ありがとう!
●『新世紀 エヴァンゲリオン』[TV&劇場]
主人公のシンジ君、苦悩するがモテてる。モテてないから苦悩している僕とは次元が違うのに、まんまと自己投影して「これは俺だ……」と呟いた大学生の荒木。それは間違っているぞ!
●『機動戦士 ガンダム』[TV&劇場]
たぶん「コアファイター脱出せよ」って回だと思いますが、アムロが避難民のために頑張って命がけで活躍したのに感謝されず、やいのやいの言われてキレて「僕はもうやめますよ!?」って怒鳴るシーンがあります。映画に入ってないので20年近くこのシーンを見直してませんが、今でもそれを見たときの胸を締めつけられる気持ちを忘れません。
●『機動戦士Zガンダム』[TV&劇場]
主人公カミーユが戦闘中、サイコガンダムのコクピットに飛び込んでいって、フォウ・ムラサメに「思い出をあげるために」父や母、幼なじみや自分の名前についてのコンプレックスを滔々と話す場面は本当に美しい名シーンだと思います。
●『機動戦士 Vガンダム』
年上のお姉さんの親切を好意と勘違いして暴走する主人公ウッソ君と(毎日メールを送っているのです。求められてないのに)、戦争の中だんだん余裕がなくなってきて、いいお姉さんのフリができなくなって後半、明白に主人公をウザがるカテジナお姉さんとの激突を描くアニメ。「男の子の妄想に、つきあっていられるか!」というセリフに高校生の自分は悶絶しました(編注:正確には45話の「男の子のロマンスに、なんであたしがつきあわなければならないの!」)。
自分は今後も、思春期の頃の自分、および今も必ずいるであろう自分のような男子に、「そういうことで苦しんでるのはお前だけじゃない」というエールを送るためにアニメを作っていこうと思います。
●PROFILE
荒木哲郎 監督・演出家。『ギャラクシーエンジェル』のコンテ・演出で注目を集め、『おとぎ銃士 赤ずきん』で監督デビュー。代表作に『DEATH NOTE』『黒塚 KUROZUKA』『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』などがある。
(11.01.13)