もっとアニメを観よう2011
第28回 追崎史敏が選んだ
「個人的な想い出と印象に残っているアニメ17本」
子供の時の想い出というよりは、アニメーターの勉強を始めた頃から業界に入ってからの想い出と印象に残っている作品がほとんどですが。
●『聖闘士 星矢』(TV、劇場、OVA)
中学の時に美術部の先輩方(今思えば腐女子の方達)にアニメーターって職業がある事を教えてもらった作品。もちろん、初めてアニメーターの名前を覚えたのも荒木伸吾さんと姫野美智さんでした。独特のフォルムとキャラクター描写。そして力強い描線、すべてがカッコよかった! そこに演出の山内さんの独特の画面作りが加わって、リアリティとは異なるある種の「様式美の世界」が作品に満ちていました。
TVが終了してから15年の月日を経て、オリジナルスタッフでOVAとして復活した時は涙モノでしたし(1話の一般試写会にも行きました!)、『天界編』の劇場作品に原画で参加できた事は今でも奇跡だと思っています。
ちなみに劇場『天界編』についてはイロイロ賛否両論あるようですが、「画」のクオリティはシリーズ最高の出来である事は間違いないです!
●『未来少年コナン』(TV)
観てた時期がアニメーターの勉強をしてた頃でもあったので、動かすにはこのくらいシンプルなキャラじゃないといかん! と当時濃い絵ばかり描いてた自分の絵を方向転換させた作品です。多分、初めて「宮崎駿」を意識して観た気がする作品。
●『彼氏彼女の事情』(TV)
自分も参加させてもらった作品です。平松さんの描くシンプルでやわらかいキャラクターは、今でも一番好きなデザインのひとつです。本編の方もバラエティ豊かな作画、演出が目白押し。若干やり過ぎだろ! な部分もあるけど(笑)、お腹いっぱいになれる楽しい作品です。
●『ミニパト』(劇場)
押井さんのパトレイバー長編2本ともうひとつ、コレも個人的に絶対はずせません。平面的な3Dパタパタギャグアニメ短編です。西尾さんの筆ペンで描かれたSDキャラ作画もカワユスすぎてたまりません。押井さんの脚本も面白すぎです。いい大人が「マジメに遊んで」作るってなんてステキなんでしょう。
●『今、そこにいる僕 NOW AND THEN, HERE AND THERE』(TV)
大地丙太郎監督のシリアス作品の名作。テーマがとても重く、若干人によって好みが分かれるかもしれませんが、しっかりと作り込まれた人間ドラマは圧巻ものです。平松さんや、長濱さん、大橋誉志光さん達と同じスタッフルームでお仕事できたのは今でも自分の中でも大きな糧となっています。
●『すごいよ! マサルさん』(TV)
●『ギャグ マンガ 日和』(TV)
同じく大地さんのシュールギャグアニメ。もうなんかアニメってとても自由だよね!(笑) と思えます!
●『ターザン』(劇場)
●『Mr.インクレディブル』(劇場)
●『べルヴィルランデブー』(劇場)
●『ファンタジア』(劇場)
個人的に好きな海外アニメ。独特にデフォルメされたキャラクターデザインのセンスや、緻密に作り込まれた画面作りはいつ観てもため息がでます。
●『ホーホケキョ となりの山田くん』(劇場)
『ホルス』も好きな作品のひとつですが、自分的高畑作品として、コレは外せません。技術的な部分の話になりますが、初めて観た時、ラフな線でセル画っぽくない水彩画のような絵が動いとる! と目からウロコが落ちたのを覚えてます。
●『るろうに剣心 —明治剣客浪漫譚—』(TV)
●『るろうに剣心 —明治剣客浪漫譚— 追憶編』(OVA)
ケレン味あふれる剣劇アクションの作画がスゴすぎる29〜31話、40話、60話は必見です。
『追憶編』はとにかく古橋監督の丁寧すぎる演出と作品に対する気合いが凄まじいくらい伝わってきます。
●『デジモン アドベンチャー』(劇場)
●『デジモン アドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(劇場)
こんなにも観ててすっきりと心地よい作品も他にはないですね。アニメはテンポだ、と感じさせてくれる作品です。
●『ユンカース・カム・ヒア』(劇場)
佐藤順一監督作品。DVDが発売されるまで、毎年有志の方々で上映会が企画されてたほど、ファンに愛され続ける作品ってホントにすごいと思います。やさしい雰囲気が感じられる画面作りが作品にとてもマッチしてて、ラストは 涙なしには観られません。
書いてるとあれもコレもと、キリがなくなってきました。〆切をとうに過ぎてしまっているので(すいませんでした)とりあえずこの辺で。
●PROFILE
追崎史敏 1975年生まれ。スタジオジュニオ出身。2008年に池田東陽と共にエンカレッジフィルムズを設立し現在に至る。代表作に『カレイドスター』のキャラクターデザイン(共同)・総作画監督、『ケロロ軍曹』のキャラクターデザイン・作画監修。『Romeo×Juliet』ではキャラクター原案と監督を務めた。公式サイトはoi-chan:chi、Twitterのアカウントは @01_chan
(10.02.08)